さて、前回に引き続き「奇跡の経営の実践法」の2回目。
今回は、「社員は大人である。だから監督/管理は不要」について紹介しよう。
会社で働いている社員は、言うまでもなく20歳を過ぎた成人であり大人である。
法に触れることをすれば、分別のつく大人として罰せられる。社会生活を営む上で、お金を払う場合は大人料金を払うことになる。
家庭に戻れば、何を買い、何を食べ、どこへ出かけるか、ほぼすべてのことについて意思決定者であるか、または意思決定に強い影響力を及ぼすリーダーだ。
そう、あなたの会社で働いている社員はほぼ全員が立派な大人であり、リーダーなのだ。
しかし、会社ではどうだろう?
それらの社員は、仕事の上で経費を使ったり、資料の作成、報告書の完成において最終決定できる権限を持っているだろうか?
何をするにもすべて上長の承認や決済を伺うよう強いられてはいないだろうか?
今日1日、どこで何をしたのか、その報告をするようもとめられていないだろうか?
それはまるで、親が子供がいちいちやることに許可を与えたり、問いただしたり、子供のなすことに介入することに似てはいないだろうか?
そう社会では一人前の大人である社員は、会社組織の中では一人では何もできない(と見なされた)子供同様の扱いをしているわけだ。
奇跡の経営では、そこに「なぜ、子供扱いをするのか?」という疑問を抱くことから始まる。
親と子供、大人と子供の関係は、リーダーとフォロワーの関係と言い換えることができる。
ここでいうリーダーとは、次の特性を持つ。
− 責任感がある
− 明確な目的/目標を持っている
− 実行力がある
− 率先して全力で行動する
− 誠実にやり遂げる
− 正直である
− 公平/公正である
− etc.
一方でフォロワーは以下の特性を持つ
− 責任をとらない
− 他人の指図/指示待ち
− 言われないと動かない
− できるだけ楽をしようとする
− 先延ばししようとする
− 言い訳をしたり、ごまかす
− 自分の利を要求する
− etc.
もし、会社組織の中で社員を監督/管理する必要性を声高に主張する人がいるとするなら、その人は社員が上にあげたフォロワーのような存在であると見ているからに相違ない。
そして、上長だけがリーダーのような特性を持ち合わせていると主張しているわけだ。
しかし、はたしてそれは真実なのだろうか?
職責が管理職で、リーダーの立場にある人が、必ずしも先に述べたリーダーの特性を常に示しているわけではないはずだ。フォロワーの特性もちょくちょく表していることだろう。
これはだからといってそれが間違っているとか悪いと言うわけではない。むしろ、それこそが人間の行動メカニズムに則っていることの証なのである。
つまり、誰もがリーダーとフォロワーの特性を示す存在であるということなのだ。
そして、リーダーの特性とフォロワーの特性は、その人が生まれついてのリーダーだからとかフォロワーだから、そういう特性を示すということではない!
人間の行動メカニズムは、価値観に合致していることについてリーダーの特性を示し、価値観に反していることについてフォロワーの特性を示すというものである。
上の図でいえば、価値観に合致していることは右側の信頼、時間厳守、責任感といったポジティブな特性、価値観に反していれば左側の怠惰、言い訳、無責任といったネガティブな特性を示すのだ。
私たちは誰もが、このメカニズムに則っている、ただそれだけのことなのだ。
そこでぜひとも認識して欲しいことは、もし社員が自身の業務が彼らの価値観と合致していると認識したら、社員がどういう行動をとるか、ということである。
社員が自分の業務のすべてのタスクについて、それらが自身の価値観を満たすものであると認識すれば、右側にあるポジティブな特性を示しながら働くことになる。
そんなリーダーの特性を示しながら働く社員を監督/管理する必要性がどれだけあるだろう?
少なくとも、現在、あなたの会社が行っている社員への監督/管理は、その大半が不要なこととして管理業務を削除できることだろう。
それは会社にとって大きなコスト削減につながるのではないか?
もっと重要なのは、それ以上に社員が率先してリーダーシップを発揮しながら働くことによる会社の発展への貢献だ。
それを考えると、ワクワクしてくるのではないだろうか。
さて、では社員が自身の業務が彼らの価値観に合致していることを認識させるにはどうすればよいか?
その方法については、既に前回のレポートで述べたとおり、業務と価値観をリンクするワークをすることだ。
お問い合わせ」から連絡して欲しい。
また、メソッドそのものについて学びたい、そのメソッドが自身でできるようになりたい、というのであれば、メソッドの開発者であるドクター・ディマティーニが直接指導する『バリュー・ファクター・トレーニング・プログラム』があるので、そちらを受講されることをお勧めする。
岩元貴久