人事は能力を基準にしてよいのか?

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人事は能力を基準にしてよいのか?

2015-07-17

今回は、趣向を変えたアプローチをとってみたい。

まずは、この質問に答えてみて欲しい。

あなたが、会社で人事を担当しているとしよう。そして、社員の所属部署および担当職務を決めることになったとする。

さて、あなたは何を基準にそれぞれの社員の配属先と職務を決めるだろうか?

少しの間、考えてみて欲しい。

どうぞ。

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さて、あなたは社員の配属先を何を基準に考えただろうか?

一般的には、次の2つを基準に決められることが多い。

1.適性

2.本人の希望

まず伝統的にとられるのが1の適性だ。

そのために社員の適性を判断するシートのようなものを研修コンサルタント会社がこぞって開発している。

あなたも過去にそうした適性テストのようなものを受けたことがあるのでは?

他にも適性テストとは別に、既に数年働いている社員に対しては、その適性を能力を基準に判断している。

この場合、その社員がどんなことに詳しいか、過去にどんな業務を経験しているかをみて、その社員が得意としていることを推察する。そしてそれを能力判断の基準としている。

次に、2つめの本人の希望だが。

面接などをして、社員に希望の職種を尋ねるという方法ととっている企業が多い。

これは社員が何をしたいのか?人生の目標を持っていることを前提としているのだが、実際にはそうした将来の目標を明確に持っている社員は稀だ。

何をしたいとか、目標を明確に持っていないと、社員は自分の経験と実績を基に判断して回答することになる。

そして実は、会社もそのことをわかっているのだ。

だから社員に希望の職種を聞くのは、あくまで会社として社員の意思を尊重しているというポーズでしかない。

このことからつぎのことがわかるだろう。

1の適性、2の本人の希望は、いずれも社員の経験と実績に基づいた能力による判断となっているわけだ。

さて、人事を社員の能力に応じて決めることは、適切なのか?今回はそのことについて論じてみたい。

社員の配属先、職務を選定するのに能力という視点で判断するのは、当然あってしかるべきだろう。

しかしながら、一方でそれだけでは不完全であるということを申し上げたい。

なぜならその証拠に、能力をもって人事を決めている多くの企業、おそらくあなたの会社には、やる氣のない社員が数多くいるのではないだろうか?

率先して働かない、常に受け身で言われたことだけを淡々とこなしている社員が周りに結構いるのではなかろうか?

会社の仕事に満足せず、不平を言いながら嫌々ながら働いている社員がいるのでは?

こういう現実を直視すれば、能力による人事は必ずしも功を奏さないのは明らかである。

それは、なぜなのか?

能力とは「できる/できない」を図る物差しだ。

そして、これがもっとも重要なのだが、「できる」は必ずしも人に行動を起こさせるパワー(動機)にはならない。

一般に、人は得意なこと、本人が一番できることをしたいのだと思われがちだが、実際はそうではないのだ。

もう一度言うが、私たちは、できるからといって、必ずしもそのための行動をとるわけではない。

言い換えると、それをできる能力があっても、行動しないことがある。いや、例えできたとしても行動しないことの方が多いといった方がよい。

極端な例になるが、本質を理解してもらうために次のような例をみてほしい。

ある日、道を歩いていたら、目の前に100万円の札束が落ちていたとする。

周りには誰もいない。ゆえに誰からも咎められることはないし、後であなたが盗んだと警察に通報されて罰を受けることもない状況だとする。

容易に、安全に、そして確実に百万円を拾って自分のものにできる状況というわけだ。

さて、そういう状況の中で、あなたはその百万円を拾って自分のものにするだろうか?

能力としては、あなたはそれができる十分な能力(ただ、拾うだけですから)と環境が整っている。障害となることは何一つない。

さて、どうだろう?あなたは、その百万円を自分のものにするだろうか?

もし、あなたが百万円を拾わないと決めたのであれば、それはなぜ?

あなたには、それをする能力が十分にあるにもかかわらず、百万円をネコババ(この表現がよいかは別として)しないことに決めたわけだが、それはなぜ?

合理的な理由は、そこにあるのか?

実はこの答えこそが、私たちの行動の原理であり、人事で社員の配属先を決めるにあたって重要なポイントになる。

なぜ、誰も見ていないところで容易に手にすることができる百万円を自分のものにしないという判断を下したのか?

それは、百万円をネコババすることが、あなたのアイデンティティーの崩壊を意味するからである。

ネコババしたその瞬間からあなたは、盗人というアイデンティティを持つことになる。それは、あなたにとって到底受け入れられないことなのだ。

誰もが意識しようがしまいが、自分のアイデンティティーを持っている。

アイデンティティーとは、自分が何者であるという自覚である。自分の正体であり、生まれてきた自分のこの世界での役割である。

普段何もない状態だと、私たちの多くは自分のアイデンティティーを自覚していない。そして認識もできない。

その証拠に、あなたは何者ですか?と問われて、答えることができる人はほとんどいない。

先ほどの例のように、何かを選択する状況に置かれた時に、自分のアイデンティティーに反する行為が何であるかを認識することくらいだ。

しかし、アイデンティティーでないものをいくら数多くあげても、それは自分の正体=何者であるかを知ることにはならない。

アイデンティティーは、

「自分は一体何者だろう?」

「何をするために生まれてきたのだろう?」

といった多くの人にとって答えを見つけられずに困っている難題となっている。

この自分の存在意義を問う質問の答えは、精神的スピリチュアル的な課題であり、日常生活には何ら影響しないと思うかもしれないが、それは誤った認識である。

なぜなら、アイデンティティーは、私たちの人生の充実感と密接に関係しているからだ。

自分のアイデンティティーを満たしたとき、私たちは真の充実感を感じるのだが、
そのためにはそもそも自分のアイデンティティーは何かを明確に知らないことには、何をどうすればよいのかわからない。

そのため、どんな職業につくか、今やっている仕事の意義といったものがわからず、賢明な職業選択の判断ができない。

そんな状態で、どうして仕事で充実を得られるだろう?

現代では、多くの人にとって人生でもっとも時間を費やす場は、職場であり仕事だ。

本当に自分が充実感を得られる仕事がわからないまま、どうして人生を充実したものにできるだろう?

自分のアイデンティティーを知ることは仕事で充実感を得るだけでなく、幸せな人生を送る鍵となるのだ。

だからこそ、ぜひ自分のアイデンティティーを見つけて欲しい、知って欲しい。

アイデンティティーを知るヒントは、先ほどの例でいえば、百万円をネコババすることは自分のアイデンティティーの崩壊を意味すると言った。

自分は盗人などではないのだと。

この許せないの意味を正しく理解することだ。

許せないとは、それが自分の「価値観に反する」と言い換えることができる。

ここまでくれば、勘の働く方ならもうおわかりだろう。

アイデンティティーは、あなたの価値観に他ならないのだ。

「できる/できない」の能力で、必ずしも私たちは行動するわけではない。

しかし、価値観(アイデンティティー)に従って、私たちは行動する。

価値観に基づいて「する/しない」が決まる。

つまり、「できる/できない」は、行動に移すまでに1つないしは複数のステップを踏む必要があるが、「する/しない」はそのまま行動に直結する。

さて、人事の話に戻ろう。

社員を能力を考慮した上で、それ以上に社員の価値観(アイデンティティー)に基づいて、配属先を決めることだ。

世間ではブラック企業とレッテルを貼られている会社がある。

ブラック企業の経営トップは、ものすごくハードに働く人がほとんどだ。そして、仕事が彼らの最高価値にあるのは明らかだ。

そうした経営トップにとっては、全力で24時間働くことは苦にならないし、それが楽しいし、それが人生で充実を感じる最高の場となっている。

そして、彼らは自分の価値観を社員全員に投影してしまっている。自分と同じような考えで仕事に励むことを期待する。

しかし、この経営トップは、社員が自分と同じ価値観を持っているとは限らないということを知らない、氣づいていない。

そのため、世間から多くの反発を受けることになってしまった。

それがここ数年、日本で問題になっているブラック企業の本質である。

これだけ多様な価値観を持つ現代の人たち、そしてその多様化した価値観を受け入れることをよしとする風潮になった現代社会において、ブラック企業のレッテルを貼られた会社を含め、すべての企業が、それぞれの社員はそれぞれユニークな価値観を持っていることを認識し、それが何なのかを把握することがもとめられている時代なのである。

だからこそ、価値観が企業組織のそして社会で重要な鍵となっている現在、『バリュー・ファクター』の果たす役割は大きい。

バリュー・ファクターをあなたの会社でいかに導入したらよいか、関心のある方はお問い合わせから連絡して欲しい。

岩元貴久


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