部下の本音を言葉ではなく、音で聴く

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2016-02-09

前回のレポートで、明らかにした価値観が本当に合っているのか検証するための方法として、人生のブルー・プリントとマッチングすることが有効であることを紹介した。

今回は、少しだけ上級者向けの方法になるが、もう1つ価値観を検証する手法を紹介しよう。

例えば、上司が部下に仕事の指図をするとき、ただ自分が指示したいことだけを部下に伝えても、部下はやる気をもってその指図された作業に取り組むとは限らない。

いや、むしろ大方の場合、仕事だから仕方なく指示に従うというのが実際だろう。

部下がやる気をもって仕事をするのは、その仕事の内容が自分の価値観に合致しているときのみである。

上司が部下に指図をする場合、その指図する業務内容は、上司がして欲しいこと、すなわち上司の価値観に合致しているものだ。

だから上司はこう考える。この業務は重要だ。だから部下がその業務をするのは当然だ。

しかしながら、部下はその業務が重要だとは受け取らないことがありうるのだ。部下にとっては、指図された業務よりももっと重要と考える業務が別にあるかもしれない。

無論、この場合の重要な業務というのは、自分の価値観に合致した業務となる。

だからこそ、上司の立場にある者は、なにか仕事を部下に依頼するとき、その指図する業務が部下の価値観に合致していることをわかるように伝えることができれば、部下はやりがいを感じ、やる気十分でその指図に従うであろう。

仕方なくやる業務と、やる気をもって取り組む業務とでは、その業務の質、迅速さに大きな差が生まれることは言うまでもない。

さて、そこで上司は、部下の価値観を知ることがとても重要になる。

部下の価値観を知るには、バリュー・ファクターにあるような13の質問を用いればよい。

日頃から部下の言動や行動、持ち物などをつぶさに観察し、部下の価値観が何なのかを把握することだ。

公式な形でバリュー・ファクターのフォームを使って、部下と一緒に部下の価値観の洗い出しをしてもよい。が、現実的にはそれは難しいであろう。

だからこそ、日頃の観察が大事になる。観察することは、それだけ部下に氣を向けることにつながる。それは部下を慮る行為ともいえる。

部下と積極的に会話をし、部下の話に耳をかたむける。部下の行動パターン、何が得意としているのか、どんなことに精通しているのか、趣味は、家族構成は、等々。

こうして部下の価値観の仮説を立ててみる。

さて、部下の価値観の仮説が立ったら、つぎはその想定した価値観が本当に部下の価値観であるか検証が必要だ。

あなたなら、どうやって自分が立てた部下の価値観の仮説を検証するだろうか?

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価値観の仮説を立てたら、次のようにしてみるとよい。

その部下に何か依頼したい業務を明確にする。

そして、その業務が部下の価値観をどのように満たすか?その業務をすることが部下の価値観にどのようなメリットを与えるか、具体的に考える。

そして、実際に部下にそのメリットを指図の中に含めながら伝えてみることだ。

それによって、部下が「わかりました」と答えるだろう。

このとき、その「わかりました」の声の音質に注意して欲しい。

その音質(声音)から直感的に感じることだ。部下はその指図にやる気を見出しているかどうか?

言葉は、作ることができるけれど、声の音は、本音が出るものだ。

最初は、うまく声音から部下の真意をはかることは難しいかもしれない。

しかし、何度も繰り返していくうちに、直感は冴えてくるもの。ぜひ、このプロセスを繰り返し行ってみて欲しい。かなり高い確度で、部下の本音を知ることができるようになるはずだ。

他のパターンとしては、あなたが立てた部下の価値観。その価値観に関係する話題を部下にふってみることだ。

それが部下の価値観に合致していれば、部下はその話題について積極的に発言するだろう。また、その話題についていろいろな情報を持っていて詳しいことだろう。

この場合も、声音に注意を向けて欲しい。

価値観に合致していれば、部下の声はきっと張りがある声であることだろう。

企業研修や個人セッションで、クライアントにバリュー・ファクターを使って価値観を洗い出す場合、私は、洗い出した価値観について「これがあなたの最高価値だと思いますか?」と直接尋ねることもある。

そして、クライアントの返答をその内容ではなく、声のトーンや張りで聴く。私の場合、スカイプを使って音声でやりとりすることもあって、この声の張りに集中することができる。

声の張り・・・そこから直感的に、その言っている言葉がクライアントの真意(本音)であるかを聞き取るのだが、やってみると実はそんなに難しいものではないことがわかるはずだ。

声の張りを意識しながら、クライアントの言葉を聞き分けていくと、クライアントの声が、自分に向かっているか、多方面に散っているか感覚的にわかるようになる。さらにいえば、その声がこちらに届くかどうかもわかるようになる。

「声が届く」という表現だが、当然声は聞こえている。ただ、その声に張りがあるときは、聞いているこちらの胸のあたりに声を感じる。逆に、声は聞こえているけれど、スピーカーから鳴っているだけで、声の場所がスピーカー周辺にあるとき、それは声に張りがない。

少し聞きなれない表現であるので、困惑させてしまったかもしれない。

ただ、これは実際にやってみればわかるものだ。1度目ですぐにこの状態をつかめたとしたら、それはすごいことだが、大方の人はそれができるまで何度か繰り返し経験が必要だろう。

今回は、価値観を検証する方法として声音(声の張り)に注意することを紹介した。まだ他にも価値観を検証する方法はあるので、またおいおい本やる研レポートで紹介していく。

岩元貴久





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