「奇跡の経営」の実践法

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「奇跡の経営」実践法をお伝えします

奇跡の経営

『奇跡の経営』(総合法令)という本をご存知だろうか?
2006年に私が翻訳をさせていただいた本だ。

だからと言うわけではなく、この本は「バリュー・エンゲージメント」と非常に強い関わりがある。というか、そのことを知ったのは、2014年になってから。つまり2006年に翻訳した『奇跡の経営』と「バリュー・エンゲージメント」が8年経った今、私の中で密接に結びついていることに氣づき、本人がもっとも驚いている。

奇跡の経営について知らない方のために、少し説明しよう。
この本の著者は、ブラジルでもっとも人氣があり、かつ急成長を遂げている会社、セムコ社の2代目経営者であるリカルド・セムラーである。

この本のタイトルが『奇跡の経営』となっているのには理由がある。
それはおおよそ私たちの誰もが理想として掲げる会社経営を、現代において実際に実現してしまっているからだ。

奇跡の経営を実現しているセムコ社の経営の特徴をあげると、以下のようなものがある。

– 組織階層がなく組織図もない
– ビジネスプラン、企業戦略を持たない
– 決まったCEO, CIO, COOがいない
– 人事部がない
– キャリアプランがない
– レポートの義務がない
– 社員を監視、監督、管理しない
– etc.

他にも財務諸表をすべて全社員に公開したり、給与を社員が自己申告で決めたり、まだ若手のうちに一定期間引退して、それから職場に戻る、といった、私たちが普通に考える会社のあり方とは全く異なる経営をしている。

そうでありながら毎年、40%の業績アップを果たし、社員も3カ国に3000人が務める規模の組織なのだ。

この本が日本で出版された当時、大きな反響があった。翻訳者である私の元にも、中小から大手企業まで、様々な会社から問合せを受けた。

「いったいどうやったら本に書いてあることを実現できるのか?」

残念ながら、本の中にはそのメソッド(方法論)は明らかになっていない。結果としてセムコがどういう会社になっているか、どういった制度がセムコ社の中で採用されているかだけが書かれている。そして、もちろん奇跡の経営の考え方、思想だ。

あまりにも問合せが多くあり、私自身も知りたいことであったので、翻訳者の立場を利用して著者でありセムコの経営者であるリカルド・セムラーにコンタクトし、どうやったら奇跡の経営を実現できるのか、その方法を教えてもらおうとした。

しかし、リカルドから返ってきた返事は、「メソッドなどない」ということだった。

そして、こう付け加えていた。「重要なのは、本のタイトルにもなっているThe Seven-day Weekend(一週間毎日が週末)であり、社員を大人として正当に扱うこと。本の中で私がもっとも強調して繰り返し述べている」と。

要するにリカルドが言いたかったのはこういうことだ。

「重要なのは、会社で働くことが、社員にとって辛く、疲れ果ててしまうようなことがあってはならないということだ。一週間のうち、5日間会社で働く。その5日間が苦痛で疲れ果ててしまう場所。そしてようやく週末になって、その2日間でエネルギーを充電し、活力を取り戻す。そして、次の苦痛である5日間に備える、などというのは人間が本当に望んでいることではない。

仕事をするのも、週末と同様に、社員が心から望むことであって、働けば働くほど元氣が出てくる、そういった休日のように充実した日々であるのが本来のはずだ。

それから、社員は大人なのだ。社会では大人とみなされ、そして家庭に戻れば、どこへ出掛ける、何を買うといったことを決めるデシジョンメーカーであり、リーダーだ。そんな社員が、会社組織の中では若造扱いされ、何をするにも上司の承認が必要で、やったことは逐一上司に報告しなければならない、なんておかしいではないか。

社員は、立派な一人前の大人であり、自己管理できるのだ。それをなぜ管理監督しなければならないのだろう。そんなことは社員の誰も望んでいない。

こうした信念がセムコにはある。それはセムコの価値観であり、その価値観に基づいた文化が、今のセムコの制度となっているのだ。」

このように理解した私は、この回答に接し、それ以上質問することはできなかった。まさにそのとおりである。大事なのは、職場がバケーションの場と同じように、それを思うと待ち遠しく、心からワクワクするものであること、そこは疲れ果てるところではなく、エネルギーが湧いてくるような場である、職場は本来そうあるべきではないか。

社員は、確かに大人である。皆、悪いことなどしようと思わない。少なくとも、会社が社員にとって最高の働き場所であれば、社員がごまかす必要などないし。全力を尽くして働くに違いない。

そして、これがもっとも重要なのだが、奇跡の経営の形は、セムコの形しかないというのではない。会社組織それぞれ、全く異なる独自の奇跡の経営のあり方があって当然なのだ。

金太郎飴のように、すべてが同じ経営のやり方、同じ文化を持つ組織になろうとする必要はない。だからセムコの制度だけを真似ても仕方がないし、そういうのは無意味であり、またそれを導入してもきっとよい結果にはならないだろう。

しかし、困ったことがある。

奇跡の経営が単に思想、価値観であって、具体的にどうすればよいのかというメソッドがないとしたら、おそらくほとんどの会社が奇跡の経営の実現に相当な困難を極めるだろう。

セムコのように経営者であるリカルド・セムラーが「一週間毎日が週末」「社員は大人」という価値観をしっかり抱いているのならまだしも、そういう経営者はめったにいるものではないだろうから。

そして、私に問合せをしてきた経営者や人事の方に、彼らが望む形の回答をしてあげられないことも明らかだった。

そう、8年前、たくさんのお問い合わせを受けながら、私は彼らに奇跡の経営について、その実現のための明確なメソッドを提示することができなかったのだ。。。

時は過ぎ、2014年現在。

私は奇跡の経営を実現するメソッドを知ることになる。

「一週間毎日が週末」「社員は大人」という価値観を、いかなる組織にも浸透させ、その価値観から組織マネジメントを可能にするメソッドを発見した。

それは、このやる研レポートでも紹介している『バリュー・ファクター』に他ならない。

では、その「バリュー・ファクター」が、どのようにして奇跡の経営に結びつくのか、つぎのレポートをご覧いただきたい。

岩元貴久





やる研

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