フロー状態になるための考察(1)

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フロー状態になるための考察(1)

2016-02-16

「フロー状態」(flow)という言葉を聞いたことがあるだろうか?



他の言い方としては「ゾーンに入った」がある。



日本語で言うなら、ちょっとひと昔ならば「絶好調」といったところであろうか。  

つまり「フロー状態」とは、その人が最高で最大限のパフォーマンスを発揮できる状態であり、フロー状態のときにイノベーティブ(革新的)でブレイクスルー(限界/常識を突破する)を起こすことができる意識の状態のことだ



いわゆるゲームチェンジャー(Game Changer)は、フロー状態にある者のことだ。  

ただし、一般にはフローについて誤解があるので、注意して欲しい。というのもフロー状態を、「やることなすこと何でも上手くいく」といった結果にフォーカスし、そのためにフロー状態(ゾーンに入る)を、人生に訪れる「運氣の良い好機」「ラッキーでノリノリの時期」と誤解している人がいるからだ。

フロー状態とは、結果ではなく、まさにパフォーマンスを発揮して行動しているときの状態のことである。

往年の野球選手で「野球の神様」と呼ばれた川上哲治氏は、「ピッチャーが投げる球が止まって見える」と言ったそうだ。

むろん、球が止まることは物理的にはありえないのだが、川上氏にはまるで向かってくる球が止まってみえるほどにはっきりと見え、どんな球でも打ち返せるという状態にあったということだ。

そう、そのときの川上氏はフロー状態にあったのである。

弓道では、達人の域になると「的が自身と一体化する」感覚になるそうだ。遠くにある小さな的が、まるでもう目の前に大きくあるように見え、さらには既に的に矢が刺さっているという、未来が「今」生じている感覚から、矢を放つのだとか。

だから、矢が的を外すことなどありえない、そういう確信の中、自然体で弓から矢を放つという。

これもまた達人が、ゾーンに入った状態である。

こうしたある種の神がかったような技、身体と精神の状態が常人を超えたような状態というのは、スポーツや武道の世界では、頻繁にとは言わないまでも世界のトップレベルの選手や武術家が体現している。

このように人間が本来持っている能力を最大限に発揮できる「フロー状態」だが、それはアスリートや武術家のように身体能力が問われる世界でのみに見られるものではない。

よく人の潜在能力の例えで使われる家が火事のとき年老いたお婆さんが自分の体重よりも思いタンスを担いで、燃え盛る火事の場から外に出てきたという「火事場のクソ力」も、フロー状態の例といえる。

つまりは、フロー状態というのは、肉体的なものというよりも精神=意識の状態であると考えていい。

そして、だからこそ、フロー状態というのは、身体のサイズや筋力、性別、年齢に関係なく、私たちの誰もが活用できるものだということになる。

もしも、そのフロー状態を私たちが自分の意思で自在に作れるとしたら、私たちは今よりももっと大きなことを成し遂げることができる。それももっと短時間で、もっと効率的、そして効果的に。

ゾーン状態が、私たちにもたらしてくれる最大のものは「不可能を可能にする」ことだ。

あなたが「自分にはちょっと無理だろう」「それは特別に選ばれた人ができることであって、自分には縁のない世界だ」と諦めや夢物語であったことが、現実に差し迫ったあなたの手が届くものになるのだ。

さて、本レポートのテーマは「社員がフロー状態になるための考察」だ。

組織の最大にしてかけがえのない資産である「社員」がその持てる価値を最大限に発揮させるために、フロー状態とは何か?そして、いかにすれば社員をフロー状態にすることができるのか?ということにフォーカスして、考察を試みようとするのが本レポートの趣旨である。

そこでまず「フロー状態」について、考察してみよう。

「フロー状態」という言葉は、心理学者のチクセントミハイが名付け親である。

彼はフロー状態を「ある活動に熱中していて、他のことが重要だと思えない状態」と定義し、その特徴に「自我の消失」「時間の速度が速い」「行動の連続性と不可避性」そして「それに対する没頭」をあげている。

そして、身体、心理、知力、社会性、創造力、意思決定力のスキルが最高度の高まった状態になる、としている。

さらには、そのフロー状態にあるときの人は「人生の意味」「生まれてきた意味」を実感し、認識するのだそうだ。

チクセントミハイが、スポーツアスリートを対象にフロー状態を研究した成果として、フロー状態にあるには以下の10の要素があるとした。

1.明確で達成可能な目標

自分のスキルと能力と合致し、チャレンジとスキルの両方が高いこと。

2.完全なる集中

3.自己意識の消失

頭で思考したり、意識せずとも、意識がそのまま動作と合致している状態。

4.時間のゆがみ

時計の時間とは異なる、主観的な時間。行動するときは、時間は長くなり、多くのことをすることができるが、氣づくとあっとういう間に時間が過ぎている感覚。

5.直接的、即時的なフィードバック

自分の行動が即結果につながり、それを確認できる。

6. ポテンシャルを引き上げる能力とチャレンジのバランス

易し過ぎず、難しすぎない。

7. 状況のコントロール

自分が状況をコントロール(できる、やれる)している感覚。

8. 内発的な動機

外部からの報酬によるモチベーションではなく、内側から沸き起こる欲求(インスピレーション)。

9. 物質的、身体的な条件(ニーズ)の認識の欠如

成功するための学歴や社会的地位、知識、筋力、体力といった要件や条件の認識がない。

10. 中毒的とも言える没頭

それだけにのめり込むこと。

さて、このフロー状態を生み出す10の要素であるが、これまで発表してきたやる研レポートを読んだことがある人なら、それらが『バリュー・エンゲージメント』と共通している点に氣づくはずだ。

バリュー・エンゲージメントは、「価値観」を私たちの行動を促すドライビング・フォース(動機)であるとしてきた。

そして、その価値観を知る手がかりは、実際の人生に現れている状況をつぶさに観察すれば自ずとわかるとしている。

いかがだろう?

チクセントミハイの言う「フロー状態」の10要素とバリュー・エンゲージメントの「価値観」に共通するものが見えないだろうか?

次のレポートでは、フロー状態を生み出すための手法として、バリュー・エンゲージメントとの関係を考察してみよう

つづきのレポートはこちら


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