ブログ記事一覧

電話番号

リーダーシップを発揮する社員(2/2):リーダーとやる気

2013-06-23 [記事URL]

前回の投稿『リーダーシップを発揮する社員(1):個の力』に関連して、今回は「リーダーシップ」について考察する。

日本ではリーダーというと、部や課、プロジェクトチームなどの特定のグループ単位の中で、職位がもっとも上位の者が務めることが多い。

なのでリーダーとは役職の順位によって決まる、役職の代替概念ととらえてよい。

また日本では年齢が役職に就く基準として未だにあるため、若いスタッフがリーダーとみなされることは少ない。

そして、グループではリーダーがたいてい1人と決まっており、それ以外はサブリーダーがいたとしても、ほぼ名ばかりで、1人のリーダー以外は、フォロワーとしてリーダーの指図に従うという構図だ。

若いスタッフが、リーダーの決定したことに反論したり、覆すような意見/アイデアを述べることは稀であり、そういうことをしてはならないという暗黙の了解さえあると言ってよいだろう。

したがって、リーダーシップは、一人のリーダーが発揮するものであり、それ以外の人にはもとめられない、関係のないスキルであるという認識が組織内にある。

リーダーになるにしても、ある日突然、昇進を機にリーダーシップを発揮することをもとめられる。それまで不要とされ、訓練されてもいなければ経験も積んでいないのにである。

さて、筆者は「日本では」と書いた。

なぜかと言えば、筆者はアメリカの大手経営コンサルティング会社の東京事務所で3年、アメリカ本社に5年務めた経験、そしてまた日米の合弁会社に2年務めた経験があり、働くスタイル/意識の違いを実際に認識しているからだ。

コンサルティング会社といえば、さまざまな職種の中でも、もっともプロフェッショナル意識の強い個の集団である。

しかしながら、同じコンサルティングという職業であっても、日本とアメリカでは働く者にもとめられることに明確な差がある。

その違いとはひとえに「リーダーシップ」である。

外資系コンサルティング会社とはいえ、日本の事務所では、前述したような風潮が他の業界と比較するとだいぶ薄いが、まだ確かに残っているのが実情だ。スタッフコンサルタントから見れば、パートナーという職位にある人は上長であり、ちょっと逆らえない雰囲氣があるのだ。

何にもましてスタッフにリーダーシップをもとめるようなことは少ないように思う。

これがアメリカの事務所になると、スタッフコンサルタントであってもプロジェクトチームの中でリーダーシップの発揮を強くもとめられる。

プロジェクトリーダーは確かにいるのだが、プロジェクトチームのメンバーは、全員各自がリーダーであり、フォロワーでいようとすれば、まず評価されない。

年収にも影響するし、最悪の場合、職そものの安全をおびやかされかねないのだ。

なので否応無しに、職位に関係なく働くすべての人がリーダーという意識を持って、リーダーシップを発揮することがもとめられるわけだ。

さて、ここまでの話を聞いて「それはコンサルティング会社のことでしょ。自分の会社はメーカーだから関係ないよ」と思う読者もいることだろう。

しかし、はたしてそうだろうか?

今や事業環境はどんどん変化し、インターネットによって事業の展開、運営スピードは益々速くなっており、意思決定のスピードアップがもとめられる時代である。

また、グローバル化の進展によって、海外企業との取引が増加し、従業員も日本国籍の人ばかりとは限らない時代に入りつつある。既にそれを実体験として認識している読者もいるだろう。

これによる影響は一部の企業だけにとどまらず、例え地方の零細企業であっても逃れることはできないことを認識することが賢明だ。

なぜなら、遅かれ早かれ、消費者/顧客の誰もが、そうしたスピード感に慣れ、それを要求するようになるのだから。

そして何よりもリーダーシップは、本「やる研レポート」のテーマである「社員のやる気」と密接に関係することを認識することだ。

チームの中で、リーダーとなる人の要件は、そのチームの目的/目標に対してもっともコミットしている、やる気の高い人であることに異論は無かろう。

つまり、チームの目標を達成することが、その人の価値観に合致している人が必然的にリーダーになるのだ。

そして、ここが肝心なのがリーダーの定義である。

リーダーとは、仕事への責任感が強く、目標を明確に定め、目標の達成意欲が高く、自発的/積極的に率先して働き、仕事の遂行のために必要なリソースを動かし、意思決定する者である。

さらに加えるなら、自分が何をしたいか、何をもとめているかを、一緒に仕事をする人たちに伝える者である。

これらの1つ1つの要件をみて、働く者にとって当てはまらないものが1つでもあるだろうか?

全社員がその職位に関係なく、仕事への責任感、明確な仕事の目標、目標達成へのコミットメント、自発的に働くことは当然である。

では、仕事の遂行のために必要なリソースを動かすことについてはどうか?

リソースとは、自分が持つ資源(情報/知識、人脈、スキル、お金/予算)のことであり、これらはどの職位の社員であろうとすべて既に持っているか、(もとめれば)持つことができるものだ。

例えそれが新入社員であろうと、課やプロジェクトチームに配属されたとき、自分を中心において、周りにあるリソースを見る目を持てばよい。

すると、経験のある上長や予算に影響力を持つ役職の人、プロジェクト遂行に必要な知識に詳しい先輩、事務処理能力のある同僚、社外の知人、取引先など、自分が活用できるリソースに囲まれていることに氣づくはずだ。

つまり、どんな規模のプロジェクト案件であろうと、またどんな立場で参加するのであろうと、自分がやるべき仕事の目標をしっかりと定め、目標達成のために自分が(潜在的に)使えるリソースを自分を中心として配置し、いかに活用するかを考えるのである。

自分の仕事の目的を遂行するために、上司には何をしてもらう必要がある。そのために上司にどのように働きかけるかを考えるのだ。

具体的には、プロジェクトにおける自分の仕事の目標を中心におく。それがこのプロジェクトにおける自分がもっとも優先する最高位の価値観となる。

自分の周りにプロジェクトの遂行に必要なリソース(社長、プロジェクトリーダー、予算に影響力を持つ管理職、知識豊富な先輩スタッフ、同僚、取引先の担当者等)を配置し、彼らに何をしてもらうと仕事がスムースに遂行できるか、そして彼らに協力してもらうために、自分は彼らに何を提供するかを考えるのだ。

これはサッカーに例えれば、わかりやすいだろう。
 
サッカーチームには監督がいて、キャプテン、そして選手がいる。監督はチームのフォーメーションや大きな戦略を与える。会社で言えば社長だ。キャプテンは、実際にプレイするフィールドの中で、チームに試合に勝つ目標に向かって選手達を鼓舞したり、状況に応じた指示を出す。
 
 
では、各選手は、全員が言われた通りにフォローするだけだろうか?
 
もちろん、そんなことはない。それぞれのポジションの中で、選手達は各自の目標(得点する、ゲームを組み立てる、失点を阻止する等)を持っている。そして、その目標を実現するために、周りの選手に動いてもらうようポジションを指図したりパスを要求する。
 
 
このようにサッカーでは、選手一人ひとりが自分のポジションにおいてリーダーシップを発揮するリーダーなのだ。目標を明確に定めて、そのために必要な周りの選手を動かしながら自発的に動き、状況を見ながら適切な意思決定をするのだ。
 
サッカーは、監督から選手を含め全員がリーダーとなってリーダーシップを発揮する。そうでないと勝利を掴むことはできない。
 
 
これからの企業は、サッカーのようにめまぐるしく状況が変わる中、社員全員が高い意識を持ち意思決定できるリーダーとなる組織にならなければならない。
 
 
当然ながら、その組織では、やる気を持った社員が働いているのだ。
 
 
岩元貴久

自分の内側で「やる気」を自ら燃え続けさせるには

2013-06-22 [記事URL]

企業の現場にいるチームリーダー、マネージャー等の管理職は、チームメンバーの「仕事に対するやる気」を高めて貰うために、日々研究をし、実践をし、工夫を凝らしています。

 

 一昔前は、「カツ」を入れる、「シメる」、といった上からの締め付けによる管理が主流でした。

 

私はかつて日本の某都市銀行の香港支店で働いていましたが、その当時の上司などは、「最近たるんでるので、昨日ちょっと締めたのたが、締めすぎた」などと、自分の同期に電話をかけて話していたことを思い出します。そんな上司の行為こそが、我々平部員のモチベーションを下げる要因になっていたのだが、そんなことは上司は知る由もありません。

 

それはいいとして、その上司の締め方が、とてつもなく凄まじかったのです。自分のデスクの前に夜8時位から立たせ、延々夜中の3時位まで説教をし続けるのです。私は、「女性」だったので、その締め上げを免れていましたが、残業が終わった10時過ぎに、立ちっパで怒られ続けている同僚を横目で見ながら帰宅するのは、忍びなかったものです。上司の言う「シメル」は、「締める」ではなく「絞める」だと思っていた位です。

 

 少し前は、こういった「怖れ」や「威圧」がモチベーションを上げるのに有効、或いは、そうやって威圧を与えなければ部下は働かないもの、という認識が社会にあったように思います。これは、そんなに前のことではありません。高度成長期の話ではなく、バブルが弾けた後の1990年代の話です。

 翻って、現在。そんな管理手法はめっきり姿を消したようですが、代わりに、「褒めて」モチベーションを上げる、「褒め」管理が流行しているように思います。

 

「君は素晴らしいね。その調子でこれからも頑張ってくれ」といった具合です。

 

 上げて上げて、喜んで貰って、頑張ってもらう。これは、人間の持つ承認要求に応える形でのモチベーションアップ手法の一つで、それはそれで有効です。が、これには、欠点もあります。それは、常に承認し続けなければならないこと。また、部下が結果を出せないで苦しんでいる時などには、この手法は使えないばかりか、逆効果になる可能性もあります。

 

 結果が出せない時に、褒められても、そうやってモチベーションを上げようとしているのだな、とバレバレです。それに、下向きになっている時に良い言葉を投げかけられても、心に響くどころか、逆に落としてしまうことにもなりかねません。

 

このサイトを覗いて頂いているアンテナの高い管理職の方々は、ご存知の方も多いと思いますが、最近では、人材を人財と呼んで、「費用」扱いしないという考え方が出て来ています。費用扱いしないということは、人材を「リソース=資源」として扱わないということです。増やしたり減らしたりする投入資源としてではなく、会社の財産として、大切に扱う、ということです。

 

欧米などでも株主に向いた経営ではなく、社員を大切に扱う経営が脚光を浴びてきています。社員が幸せであれば、社員は自ずと顧客を大切にし、会社のファンが増え売上増に結びつき、ひいては株主の為になる、というのが理論のベースとなっています。

 

それを唱える学者の一人に、ヘンリー・ミンツバーグ教授という方がいます。ミンツバーグ教授は、日本ではあまり知られていませんが、欧米ではピーター・ドラッカーと並び称される経営学の大家です。 彼は、この3月に日本を訪れ、講演をしています。私も講演を拝聴しましたが、彼の経営理論がダイヤモンド・オンラインで紹介されているので、そこから要点を抜粋したいと思います。

————

彼の主張は、マネジメントとは人間の能力をシステムに適用することで、システムを人に適用することではないという基本的な信念を軸に展開される。そして、やる気とは、自分が大切に扱われているという気持ち、つまり自己や周囲に対する肯定感や信頼感といった気持ち、心理的作用から起こるものとし、コミュニティシップ経営なるものを提唱する。

 彼は論文「『コミュニティシップ』経営論」(ダイヤモンド・ハーバードビジネスレビュー/2009年11月号)において、「コミュニティは、仕事や同僚、そして自分たちの居場所(それは地理的な意味だけではなく、様々な意味において)を大切にし、この気持ちによってやる気が湧いてくるところである」と述べている。

———

 

自分の居場所がある、とは、すなわち、自分の<ミッション>が明確であることに他なりません。自らのミッションを明確に持っている人は、ミッションが明確な企業同様、ブレがなく、方向性がはっきりとしており、強いのです。ミッションとは、すなわち、社会での役割のことです。自らの役割を社会性を持って強く“意識”した時、それは“使命”すなわち、<ミッション>になります。

 

実際、クライアントさんと接していて、自分の人生におけるミッションを発見すると、そのサインが目に見える形で現れます。瞳の奥がキラっと光り、心の底から納得したような、長年探していたものが目の前に現れたような安堵感と喜びに包まれた表情をされます。

 

そして、現在携わっている仕事や個人で取り組んでるボランティアや趣味などがミッションと深くリンクしていると気づいた時、瞳の奥に、第二の光が現れます。自分の任務、使命を全うすることが、自分の存在価値を立証する、高めることになるのだと気づいた瞬間です。自己重要感、自己信頼感が一気に増すのです。こうなると、任務全うのためのアイデアが沢山浮かぶようで、

 

 「私には、やることが沢山あります」

 

「こうしてはいられないのです」

 

「早く社に帰って、色々アイデアを具体化して取り組みたい」

 

 といった言葉が次々と飛び出してきます。

 

自分の<ミッション>への気づきが、コミットへと変容した瞬間です。あとは放っておいても、内側からやる気がみなぎり、周囲を巻き込み、どんどんと仕事を創造し、こなして行きます。与えられた仕事をするのではなく、自分から仕事を見出し、創りだし、こなして行くようになります。ミンツバーグ教授の言うとおり、

 

「マネジメントを実践していくには、理論だけでなく、人の気持ち、感情を土台とした周囲とのつながりがとても重要」なのです。そして、

 

「心の持ちようの変化は、個々の心の中に起こることだけれども、それが対話の場に集ったマネジャーそれぞれに同時進行で起きたとき、組織として大きな力を発揮」します。

 

 企業として、中間管理職のそれぞれが<ミッション>に目覚めることほど、強いことはないでしょう。なにしろ、歯車のそれぞれが、自ら動き出すのですから。

 

 私は、「結果が全て」である外資の金融機関で20年仕事をしてきた中で、使命感<ミッション>を持って仕事に取り組むことほど強いものはないことを実感し、これこそが、自分でも認識していなかった、自分の中に眠る最高の可能性を引き出し、最高のパフォーマンスを発揮するために必要なことだと、確信を得ました。

 

 一つの部門を任されてからは、一人一人の部員が、携わる仕事に自分独自の使命感を見出せるように、仕事の割り振りを考えてきました。その人が持つ、相対的な「強み」が最大限に発揮できる仕事を割り振り、

 

「あなたにしかこの仕事はできない」

 

「あなたの人生にとっても、この仕事に携わることは非常に重要な意味がある」

 

を肝に銘じてもらうことに、労力と時間を費やしました。

 

それが腑に落ちると、人は驚くような仕事をします。仕事の中に使命感<ミッション>を見出している人は、周囲や本人さえもが思ってもみなかったような加速度的な成長を遂げ、考えてもみなかったような結果を打ち出してくるのです。

この理由の第一には、仕事の中に<ミッション>を見出している人は、自己重要感が高く、自信に溢れ、文字通り使命感に溢れ、幸せで心が満ち足りている点が挙げられます。幸せな気持ちで物事に取り組んだ結果もたらされるものは、我慢して嫌々取り組んだ場合とは大きな差が出ることは、周知の通りでしょう。

 

第二に、仕事の中に<ミッション>を見出している人には、迷いがありません。自分の<ミッション>は、この自分が果たさなければ、誰も果たす事ができない、との強い確信があるため、何か困難に出会ったり失敗した時なども、挫折、落ち込み、凹み、といった方向にマインドが向かわず、その段階を飛ばして、何が最善の策なのかを探して脳がプロアクティブに動くことになります。この状態にある人は、「失敗」の報告と同時に「こう対応しました」或は、「こう対応します」という対応策、解決策を持ってきます。しかも、それが早い。

 

第三に、多くの協力者を引き寄せることになり、運をも見方につけるようになります。ミッションに生きていると、内面からの輝きが違ってきて、直感やインスピレーションなども湧いてくるようになります。それが必要とする協力者を惹き付け、自らが必要とする潮流をも創りだす動きができるようになるのです。

 

こういった経験を通して、私が学んだことは、

 

1)メンタルとは、強くするものではないということ。使命感<ミッション>を持っていれば、メンタルが強くなるのです。

 

2)モチベーションは高めるものではないということ。使命感<ミッション>を持っていれば、モチベーションが高まるのです。

 

それがわかってから、私は、部員全員が「仕事の中に自分だけの使命感<ミッション>を見出していること」をマネジメントの柱とする管理手法に切り替えました。個々人のパフォーマンスが劇的に上がったのは、言うまでもありません。

 

 では、<ミッション>を明確に知るには、どうしたら良いのでしょうか。実は、この理論を唱える学者や経営者は、世の中に数多く存在します。ですが、方法論まで確立しているものは少なく、その中で効果があるものとなると、本当に極僅かになります。

 

ミッションを知るための第一歩は、自分のコアな部分が最も大切にしている、本当の自分の噓偽りのない「価値観」を知ることです。私たち、特に40代以上は、社会や親の価値観が画一的であった時代に育ったため、大半が自分自身の価値観というものを認識すらしていない、或いは、ずっと心の奥に押し込めてこれまで生きて来ました。

 

会社の価値観、親の価値観を自分の価値観と思い込んで就職、結婚という人生の重要イベントの決断をしてきたため、仕事に必要以上のストレスを感じ、病気になったり心が病んだり….。それでも働き続ける為に、メンタル面のケアが必要になり….。

 

心が嫌だと言っている仕事だから、ワークライフバランスが必要になるのです。心が喜ぶ仕事なら、オンとオフの線引きなど必要なくなるでしょうし、引こうとしても引けなくなるはずです。

 

一日一日の日常、その連続が、人生です。

 

他人の価値観が反映された日常を送っているなら、他人の価値観を生きる人生になります。

 

会社の価値観は、会社の価値観。

 

親の価値観は親の価値観。

 

自分には、自分の価値観、もっと言うと、世界観があるはずです。

 

自分は、何を信念に、何を善しとし、何に美を感じ、何をしようとして、生きているのか。

 

そういった、自分の世界観、自分の軸。

 

自分の今の人生、日常は、それが反映されたものなのか。

 

そう自分自身に問うてみること、

 

そして、答えがノーならば、自らの価値観に従い、<ミッション>に生きる生き方に修正すること

 

それが自らの内側でやる気を燃え続けさせ、結果を出すための第一歩であると考えます。

 

ミッション・ミッケ 代表
ビジネスパフォーマンス・コーチ/トレーナー
高衣 紗彩


リーダーシップを発揮する社員(1/2):個の力

2013-06-13 [記事URL]

日本人は個人ではパッとしないが、集団になると非常に優秀であると言われる。

ステレオタイプな意見と言えばそれまでだが、あながち的外れでないことは読者もお感じのことだろう。

これは、日本では学校教育や家庭で「協調性」を重視した教育がなされているのと、もともとの日本の風土、氣質に起因しているものと思われる。

アメリカと日本で会社経営をしている筆者からみて、日本人は総じて個人の利益よりも集団の利益により意識を向ける傾向が強いと感じる。

このことは企業のシステムを見てもわかる。未だに多くの企業で実質的に行われている年功序列型の昇進、給与体系は、組織の秩序、すなわち調和を保つための施策の1つであると言ってよい。

3.11の後、日本では「絆」という言葉が頻繁に使われるようになったが、これも協調性に価値をおく日本人の特性に叶ったものであろう。

実際に日本企業が1980年代に世界で注目されていたのは、その日本人の和に基づいた企業活動が業績を上げる原動力になった。

当時は、日本の製造業はまさに世界を席巻するほどの勢いがあった。日本製品の代名詞とも言える「安くて高品質」は、製品とはかくあるべきだという理想を世界に示したともいえる。

そして、それを可能にしたのは、ウィリアム・エドワーズ・デミング博士による「品質管理」の概念であった。とりわけ日本では現場作業員と管理者が共同で行うQCサークル(品質改善活動)が盛んに行われ、日本の製造技術を一挙に世界トップレベルに押し上げた。

このQCサークルの特徴は、現場で働くブルーカラーの作業員と管理する側であるホワイトカラーの監督や設計者が一緒にチームを組んで品質の改善活動に取り組むことであった。

つまり、管理する側と管理される側が、その垣根を越えて同じ目的に向かって共に働くわけだ。

これはホワイトカラーとブルーカラーの業務が縦割りで明確に区別され、決して交流することのない当時の欧米企業にとっては驚きであった。

このように日本人の和の精神が、品質改善活動に大きく貢献し、日本企業は世界トップレベルの力をつけたのである。

さて、では現代の日本企業はどうだろうか?

企業環境は、1980年代とは大きく様変わりしている。人の価値観はさらに多様化し、インターネットの発達によりビジネスモデルの変革とともにビジネスの展開スピードが加速、またグローバル化の伸展により競争が激化している。

そうした状況の中、日本企業かかつての勢いを失い、世界の市場では、韓国を始めとする台頭するアジア企業と肩を並べられ、サービスや小売り、コミュニティービジネスでは、アメリカに水をあけられている状態だ。

日本企業得意のチームの和では、突破できない壁を感じている経営者が多いのではないだろうか。

個人的に「和の精神に基づくチーム力」は日本の特徴といえるもので、失ってはならないと思う。

ただし、物事には必ず二面性があるように、チームの和を尊重する姿勢には、プラス面もあればマイナス面もあることを認識することだ。

和を尊重すると、次第に同調圧力が強まる。

チーム内の協調性が重視され、それが行き過ぎて、皆と同じことをすることをもとめられるようになる。

それに反することは、悪なのだ。

反したものは「村八分」的に疎まれ、評価されない。そして、それを避けるために、いつしか社員には

― 言いたいことがあっても発言しない。

― よりよいアイデアを持っていても、チームの方針に反するようなことは言わない。

― 上長の意見に反対を表明しない。

といった意識が芽生えるようになる。

チーム会議は、一部の上長(リーダー)の方針を確認し、その意見に賛同する場と化してしまうのだ。

また、突出した存在を認めない。いわゆる「出る杭は打たれる」的な扱いをされるのだ。

「他人と違うことをしてはならない。」

「場の雰囲氣を乱してはならない。」

といった暗黙の了解が組織風土に根づいてしまう。

これは次第に組織の中に個の力の伸展を妨げる弊害となってしまう。

しかし、和の精神に基づくチーム力の本来の目的は、個の力を合わせてシナジーを生み出すことにある。

それを前提にすれば、本来は組織は、個がその潜在力をいかんなく伸ばし、発揮することを歓迎し、サポートするべきである。

組織がその目的を実現するためには、チームの協調性のために個が妥協するようなことがあってはならないのだ。

サッカー日本代表チームを見ると、世界のトップレベルで活動し、世界トップレベルの選手になることを目指している選手は、共通して「個の力」を伸ばすことを強調している。

チームが世界のトップレベルに立つには、強い個の力が結集させることがチーム力の向上になるというのである。

2013年6月4日のワールドカップ(W杯)予選突破を決めたオーストラリア戦の翌日に行われた記者会見でMF香川真司選手が次のように答えている。

代表チームが抱えている課題は?の問いに対して

「もっと強い意志や信念を選手一人ひとりが持たないと。代表としてまだまだ個性が足りない。

日本代表の良さとして、チームワークというのは大事なものだけど、それだけでは勝てない。

個性がもっともっと表れてこないといけない」

そして、香川選手の考える個性とは

「日本代表はチームワークを大事にして、チームのためにやっているという考えを持った選手が多い。

それが日本の特徴ではあるけど、その中でももっと、自分がやるという強い気持ちを持つ選手が必要。

個性、強さをもっとみんな持たないといけない。」

香川選手が所属する世界トップのクラブチーム(マンチェスター・ユナイテッド)との違いについて

「チーム(マンチェスター・ユナイテッド)には強力な個性を持った選手がいて、彼らと同等、彼ら以上の意識を持っていないといけない。2年目はチームの中でいかに自分を表現できて、主力としてやれるかというのが必ず代表にもつながる。今年は周りがすごいから、その中でやっていただけだった。」

注)出典:2013/06/05付けのGoal.comの記事から抜粋。

つまり、香川選手は、世界で戦うには自身も含めた一人ひとりが個人の力をレベルアップさせていくことが日本代表全体としての成長につながると訴えているのだ。

もう一度言うが、日本人が大切にしている「和の精神」「協調性」といった価値観はすばらしい特性であり、失ってはならないと思う。

これからはその和を構成している個の力をさらに磨くことで、強力なシナジーが働き組織力をさらに増大させる時代になったのだ。

個の力を発揮する。つまりそれは、社員一人ひとりが自分の特性である才能、知識、スキルを大いに磨いてそれを仕事を通して表現することである。

ここで重要なのは、社員の才能、知識、スキルは、それぞれの社員の価値観の表れであることを知っておくことだ。

そして、この世にまったく同じ価値観を持つもの等一人もいない。似た人はいるだろうが、まったく同じ価値観を持つ人等いないことを認識することが重要だ。

特に21世紀に入ってからは、個人の価値観はその違いがはっきりとわかるようになっている。

それだからこそ、この価値観を認識することなく組織の和を押し進めようとすると、協調性の名の下に、社員が自分の価値観をねじ曲げたり、時には押し殺して、他者(組織)の価値観を受け入れる形をとることになるのだ。

これでは組織の力など発揮するべくもないことがおわかりだろう。

社員一人ひとりが自分の価値観に基づき自己主張することになると、協調性が崩れるように危惧する読者がいるかもしれない。

しかし、自然界を見ればそんな心配などいらないことがわかるはずだ。

自然界の生物の種類は、500万種以上あると言われているが、それぞれが特徴を持って生きている。誰かに遠慮したり妥協することなく、自らの特徴(個性)を発揮して(言い換えれば、自己主張)生きているが、全体として見事に完璧なハーモニーを奏でているではないか。

企業が組織力を最大限に引き上げるには、社員が個の力を発揮することであり、それは社員が自身の価値観に基づいて働くことである。

それができている組織は、そこで働く社員はハツラツとして幸せであろう。

この続きは『リーダーシップを発揮する社員(2):リーダーとやる気』をご覧下さい。


ご挨拶

2013-05-28 [記事URL]

はじめまして、やる気研究所の代表を務めさせていただいています岩元貴久です。

この度、やる気研究所、通称「やる研」のホームページを公開する運びとなりましたので、ご挨拶を兼ねて、当サイトを用意した主旨と皆様にとって、どのようなメリットがあるか説明させていただきます。

やる研の発足目的は、人々がそれぞれの天才性を発揮して、自分らしく、やりたいことをして生き生きと暮らす社会の実現です。

私たちが、もっとも知力体力が充実して活動できる年齢(20歳〜60歳)で人生の大半の時間を送るのは仕事を通してです。

そこで、特に企業で働くビジネスパーソン(会社経営者/幹部、中間管理職、社員、そして起業家)を対象に、仕事を通して自己実現(ミッション)するための支援をすることを目的として、当サイトを立ち上げました。

そして、その中でも私たちが注目しているのが当サイトの名称に『社員のやる気』とあるように「やる氣」です。※(「気」ではなく「氣」の漢字を用いるのは、心身統一合氣道、宗主 藤平光一先生の「氣」はエネルギーであり「〆(しめ)る」ものではなく出す(発する)ものという考えを踏襲したものです。当サイトなど固有名詞の名称には「気」を用いますが、私の文章の中では「氣」を用います。)

自分がやりたくもないことをして、いくら成果を達成したとしても、心の充実を感じることはないでしょう。

いわんや、その達成までの過程は、楽しいものであるはずがありません。実際にはやりたくないことをして、成果を上げることは至難でしょう。

パナソニック(旧 松下電器産業)の創業者であり「経営の神様」とまで言われた故松下幸之助氏が「企業(事業)は人なり」と言っていたと聞くに至っては、社員がやりたいことをして活氣のある組織を作るのは、経営者が成すべきことの最優先の命題であり、かつこれは企業に務めるすべてのビジネスパーソンに言えることでしょう。

だからこそ、私たちは「やる氣」にこだわり、やる氣とは何か?私たちのやる氣のメカニズム、そして持続する真に有効なやる氣が起る方法の研究と実証を行い、その結果を『やる研レポート』にまとめ、当サイトで発表し皆様とその知恵を共有して参ります。

当サイト『やる研』は、個人事業主、起業家、社会進出する女性、企業経営者、部下を持つ管理者、人事や社員教育の担当者、そして人材斡旋/キャリアプランのプロフェッショナルの方々にとって、働くことに生きがいとと喜びを持っていただくための情報のポータルサイトとしてご利用いただきたいと考えております。

また、ご自身のキャリアや仕事えの取り組みを真剣にお考えのビジネスパーソンにとっても、有益なインスピレーションとなるサイトとして、活動して参ります。

「やる研レポート」は随時更新していますので、どうぞ頻繁に当サイトをご訪問ください。

これからも末永くお付き合いいただけますようお願い申し上げます。

平成25年5月28日

やる気研究所

岩元貴久


PAGE TOP




やる研

公式SNS

掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断転写・転載・公衆送信などを禁じます。
コンテンツの無断転写・転載・公衆送信などを発見した場合は予告無く通報します。




MENU

CONTACT
HOME