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伝わる

2016-03-23 [記事URL]

コミュニケーションで大事なのは、伝えることではなく相手に伝わることであり、さらに重要なのは、相手があなたの意図を受け入れてくれることだ。

職場で言えば、あなたが同僚や部下に業務を依頼した時に、相手がそれを快く引き受けてくれること。そうすれば、業務はスムーズに進み、はかどる。

では、伝わる情報と伝わらない情報の違いはなんだろうか?

例えば、あなたは誰かに批判を受けたことがあるはずだ。

それも1度ならず何度もあるはず。

そこで思い出して欲しい。

批判を受けた時、すべての批判があなたにとって同じくらい辛いものであっただろうか?

そうではないはず。

ある批判については、まったく氣にならなかったというものがあるはず。

それとは逆に、ものすごくショックを感じた批判もあったに違いない。

誰かがあなたにかけた批判の言葉そのものは情報であり、氣にならなかった批判も大きなショックを受けた批判も「情報」という意味では同じだ。

では、ある情報に対しては氣にならなかったのに、どうしてもう一方の情報にはショックを受けたのだろう?

相手の声の大きさだろうか?

そうではないはずだ。

では、情報(言葉、単語)の内容であろうか?

実は、あなたがショックを受けたのは情報そのものではない。

なぜなら、同じ批判の言葉(情報)だったとしても、それを誰が言ったか(誰があなたを批判したか)でショックの受け方にも違いが生じるはずだからだ。

あなたがショックを受けたのは、あなたにとってその批判が持つ意味にある

その批判が誰から受けたものであり、その批判の言葉がその特定の相手からあなたに向けられたということが、あなたにとって持つ意味が影響しているのである。

その批判が持つ意味が、あなたの価値観を強く傷つけるとき、あなたはその傷つく度合いに応じてショックを感じる

おわかりだろうか?

相手に伝わるとは、相手の価値観との関連の度合いなのである。

価値観に反する度合いが強ければ、相手はそれだけ嫌な思いをする。

価値観をサポートする度合いが強ければ、相手は喜ぶのである。

職場で、あなたが誰かに業務を依頼する時、相手がそれを快く引き受けてくれるかどうかは、相手にとってあなたが依頼することの意味次第であるということだ。

これはもちろん、単に依頼する時の態度であるとか、依頼する言葉やトーンということではない

相手に伝わる(届く)依頼。

それは、相手の価値観をサポートする度合いという認識をもって依頼することを心がけることがポイントになるのである。


部下の能力を最大限に発揮させるには?

2016-02-29 [記事URL]

社員全員がその持てる能力を最大限発揮してくれたら、会社としては何も言うことがない、とまでは言わないが、それは会社として最も望むことの1つであろう。



今回は、前回までのフロー状態と関連するが、違う角度から部下が持てる能力を発揮するための考察を述べたい。



そこでまず、つぎのことを考えてみていただきたい。

あなたは、普段は特段に優秀でもない部下が、いつにも増して働き、目を見張る成果を上げたりしたとき「な〜んだ、やればできるじゃないか。これだけのことができるんだから、普段からその力を発揮してくれよ」と思ったことはないだろうか。



これは、あなたにも同じことが言えて、上司から「やればできるじゃないか」と言われたことがあるはずだ。 

では、どんなとき、あなたは普段以上の力を発揮したのだろう?何か普段とは違う要素があったのではないだろうか?

あなたは能力を発揮したときの、あなたのはたらきぶりを考えてみてほしい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

check2 いつも以上に集中していませんでしたか?

check2 何よりも優先して働いていませんでしたか?

check2 いつも以上に長い時間、仕事していませんでしたか?

check2 常に仕事のことを考えていませんでしたか?

さて、話は変わりますが、あなたは過去に「お金(支払い等)」で困った状況に陥った経験はないだろうか?

月末近くになって、家賃の支払いができないとか、資金繰りに困って、このままだと乗り越えられない・・・といった状況。

実は、結構多くの人が一度や二度、お金に困った経験を持っているのだが、そのほとんどの人が、その困った状況から無事に脱している。

実はこのことが重要なのだ。私たちが能力(想像力、行動力、問題解決力等)を最高度に発揮する鍵は、ここに隠されている。

結論から言えば、私たちは切羽詰まった状況に追い込まれるとき、普段は鳴りを潜めている能力を最大限に発揮するのである。

これはどういうメカニズムかといえば、普段とは異なる価値観の優先体系に組み変わるということだ。

例えば、いつもは趣味のゴルフを第一優先にし、ゴルフの練習やラウンドをすることに熱中している人がいたとする。付き合う友人もゴルフ仲間だし、テレビもゴルフ番組、ネットサーフィンもゴルフ関連の情報サイト、時間があればゴルフクラブを磨いたり、駅のプラットフォームでは、傘をゴルフクラブ代わりにしてスイングの練習を試みる。

そんな人が、ある月、想定外に大きな出費が生じてしまい、翌月にはかなりお金に窮してしまうことになった。このままでは翌月の家賃などの支払いが不足してしまう。子供の塾の月謝も払えないかもしれない。

この状況になったとき、その人の中の価値観の優先体系(物事の重要度)は、いつもは第一優先であったゴルフは、かなり下位の方に下がる。代わって、お金がダントツで第一優先となる。

お金の支払いが解決するまで、その人の関心ごとは「お金」に集中して、他のことには目もくれなくなる。

何を考えるにも「お金」のことばかり、ゴルフ仲間と付き合うどころではない。なんとかお金を工面しようと、想像力を働かせ、ネットで調べたり、お金を借りれるような人にコンタクトをとる。

普段は決してやらないような行動もとるようになるだろう。自発的で積極的にお金を工面するための行動力をみせる。

これは人間行動学的に言えば、第一優先の価値観だけに集中している時の状態になっているとき、私たちはこうした最大限の「集中力」「時間」「想像力」「行動」を第一優先の価値観に向けるのだ。

そして、このとき、私たちの能力は最大限に発揮される状態になっている。

あなたの部下の能力を最大限に発揮させるための方法は、部下を切羽詰まった状態にしてあげること。そうすれば、部下は自ずと能力を最大活用して働き始める。

 ただし、もうあなたもお氣づきだろう

部下を追い込む形で、その能力を引き出すことは、1度や2度くらいまでなら通用するが、恒常的にそういうことはできない。

それこそ部下がストレスを感じ、健康を崩し、退社することになるだろうし、倫理的にも心情的にも賢明とはいえない。ブラック企業として社会的な非難をうけることにもなりかねない。

何よりも部下を含めあなた自身、そのような環境で仕事をすることは楽しくないし、働きがいを感じないであろうし、幸せとはいえないだろう。

では、どうするか?

もうおわかりだろう。部下が自身の第一優先の価値観に100%集中できるような環境で仕事をさせることだ。

部下の第一優先の価値観に合致した業務をアサインし、業務を指示するときには、その業務が部下の第一優先の価値観にどのように関係するのか、どのように役立っているのかを部下が認識するように伝えるのだ。

部下が自分の業務を第一優先の価値観と認識したとき、部下はこちらが黙っていても、その仕事に集中し、何よりも優先して取り組み、それだけに時間をつかい、よりよくなるよう改善する点を工夫し全力を尽くす。

部下の能力を発揮させられるかどうかは、すべてあなたが部下の第一優先の価値観と業務を結び付けられるかどうかにかかっている。


フロー状態になるための考察(2)

2016-02-22 [記事URL]

前回のレポートに引き続き、社員が最高のパフォーマンスを発揮できる状態=「フロー状態」について考えてみた。



前回紹介したフロー状態の名付け親である心理学者、チクセントミハイがあげたフロー状態の10の要素;

1.明確で達成可能な目標

自分のスキルと能力と合致し、チャレンジとスキルの両方が高いこと。

2.完全なる集中

3.自己意識の消失

頭で思考したり、意識せずとも、意識がそのまま動作と合致している状態。

4.時間のゆがみ

時計の時間とは異なる、主観的な時間。行動するときは、時間は長くなり、多くのことをすることができるが、氣づくとあっとういう間に時間が過ぎている感覚。

5.直接的、即時的なフィードバック

自分の行動が即結果につながり、それを確認できる。

6. ポテンシャルを引き上げる能力とチャレンジのバランス

易し過ぎず、難しすぎない。

7. 状況のコントロール

自分が状況をコントロール(できる、やれる)している感覚。

8. 内発的な動機

外部からの報酬によるモチベーションではなく、内側から沸き起こる欲求(インスピレーション)。

9. 物質的、身体的な条件(ニーズ)の認識の欠如

成功するための学歴や社会的地位、知識、筋力、体力といった要件や条件の認識がない。

10. 中毒的とも言える没頭

それだけにのめり込むこと。



これは、弊社が提唱するバリュー・エンゲージメントの「価値観」から説明できる。

私たちにとってもっとも重要な価値観(最高価値)・・・つまり私たちにとって最も重要で、何よりも大切な、大好きなこと(工作作り、新規プロモーションの立案、子供の教育、ゴルフ等)をしている時、私たちは、それに「熱中し、没頭する」「時間が経つのが早く感じる」「より創造的になっていろいろなアイデアが生まれる」「上達が早い」といった特徴があり、それに取り組む理由や報酬は必要ない、それをやること自体が報酬であり、内発的な動機となっているものだ。



つまり、私たちが最高価値に取り組んでいる時は、フロー状態で見られる特徴と同じものがあらわれる。それは、私たちが最高価値をおいている分野では、フロー状態になりやすいことを意味するのである。 

だからこそ、社員には、彼らの最高価値に合致した業務をアサインすることが、社員の能力を大いに発揮させ、高いパフォーマンスにつながるわけだ。

ちなみに社員の最高価値に合致した業務とは、社員の最高価値と業務に肯定的な関連性の認識があるという意味だ。

ただし、ただ単に社員の最高価値に合致した仕事をアサインすれば、社員が勝手にフロー状態になって高いパフォーマンスを発揮してくれると考えるのは早計だ。

社員がよりフロー状態に入りやすくなるように工夫することが必要。

具体的には、業務を指示するときに明確な目標を伝えたり、社員の能力に見合った、背伸びをすれば届きそうなチャレンジを与えること、そして都度の直接的なフィードバック(評価)を忘れてはいけない。

さらには、社員を信頼して任せることだ。業務への介入、干渉はできるだけ避け、社員に決裁権を移譲すること。社員に業務のコントロール権をもたせて、やりたいようにやらせてあげることである。

フロー状態をつくる環境では、できるだけルールなどの制限は持たせないことも大事だ。

また、制限ではなく、容易にはいかないような高いハードルを持ったチャレンジは必要である。チャレンジがあることで、社員に従来とは異なるアプローチを試してみたいという想像力を誘発するからである。

さて、最高価値についてであるが、バリュー・エンゲージメントでは、実際に人生にあらわれている自分の行動の特徴を客観的に観察して、13の切り口から価値観の優先体系を明らかにするアプローチをとる。

例えば、私たちは価値をおくことにより多くの時間を費やすし、お金も使う。また、他人と会話するときは、自分が価値をおいている分野について話すものだ。

さて、こうした客観的な自分の行動を観察していくことで明らかになる価値観の体系で、最上位にあるものが最高価値となるのだが、フロー状態を生み出すには、表面的な価値観ではなく、当人にとって真に意味のある強烈なもの、当人がそれを真に納得するものでなくてはならない。

ところで私たちにとって真に意味のある価値観とは何だろうか?

それは、人生の究極の目的、生まれてきた目的、使命=天命ではないだろうか?

「天命」と書くと、なにやら宗教的に受け取るかもしれないが、私たちの誰もが少なくとも一度は「自分は何のために生まれてきたのだろう?」と考えたことがあるものだ。

実際あなたも、過去に自分の生まれた意味、何をするために生まれたのか、自問したことがあるのではないだろうか。

ジャーナリストでありフロー状態の専門家であるスティーブ・コトラーによると、生命の危険と隣り合わせのスポーツ(「エクストリーム・スポーツ」と呼ぶ)であるスカイダイビングやロッククライミング、サーフィンのトップ選手が、超人的なことを成し遂げているとき、彼らはフロー状態になっていると言っている。

興味深いのは、そのフロー状態に入ったアスリートたちが共通して証言しているのが「対象との一体感」だ。

例えば、サーファーであれば波と1つになるとか、弓道であれば弓道家がねらう的と1つになる、登山家が山の岩と1つになる、剣術家が敵と1つになる等といった感覚である。

むろん物理的に2つのものが1つになるわけではなく、感覚ですから意識の中で対象と同化することを意味するのではあるが。

 これらの証言が事実だとすれば、どうやらフロー状態では意識が拡張し、1つの身体に収まった「自我」を超越すると思われる。

なぜ、私がこの「対象との一体化」に関心を持ったかというと。

その証言をしたアスリートたちは、意識の一体化を感じている時に「生きている実感」「生きることの意味」をはっきりと認識すると言っているからだ。

生命を失うかもしれない危険を顧みず、挑戦し続けるそうしたアスリートたちにとって、自分が生きている意味=存在意義を実感することは、自分の命をかけるに値すると言っているのだ。

このようにフロー状態に入る秘訣には、価値観がその鍵であり、その中でも価値観の究極として「自分の存在価値、存在理由」をもとめる人生の目的=天命がある

逆に、天命(自分が本当にやるべきこと)に生きていない限り、フロー状態に入ることは難しい。

それはつまり、自分の本当の力を知らずに一生を終えることになるということです。

次回は、フロー状態と「意識」の関係について考察をレポートしたい。


フロー状態になるための考察(1)

2016-02-16 [記事URL]

「フロー状態」(flow)という言葉を聞いたことがあるだろうか?



他の言い方としては「ゾーンに入った」がある。



日本語で言うなら、ちょっとひと昔ならば「絶好調」といったところであろうか。  

つまり「フロー状態」とは、その人が最高で最大限のパフォーマンスを発揮できる状態であり、フロー状態のときにイノベーティブ(革新的)でブレイクスルー(限界/常識を突破する)を起こすことができる意識の状態のことだ



いわゆるゲームチェンジャー(Game Changer)は、フロー状態にある者のことだ。  

ただし、一般にはフローについて誤解があるので、注意して欲しい。というのもフロー状態を、「やることなすこと何でも上手くいく」といった結果にフォーカスし、そのためにフロー状態(ゾーンに入る)を、人生に訪れる「運氣の良い好機」「ラッキーでノリノリの時期」と誤解している人がいるからだ。

フロー状態とは、結果ではなく、まさにパフォーマンスを発揮して行動しているときの状態のことである。

往年の野球選手で「野球の神様」と呼ばれた川上哲治氏は、「ピッチャーが投げる球が止まって見える」と言ったそうだ。

むろん、球が止まることは物理的にはありえないのだが、川上氏にはまるで向かってくる球が止まってみえるほどにはっきりと見え、どんな球でも打ち返せるという状態にあったということだ。

そう、そのときの川上氏はフロー状態にあったのである。

弓道では、達人の域になると「的が自身と一体化する」感覚になるそうだ。遠くにある小さな的が、まるでもう目の前に大きくあるように見え、さらには既に的に矢が刺さっているという、未来が「今」生じている感覚から、矢を放つのだとか。

だから、矢が的を外すことなどありえない、そういう確信の中、自然体で弓から矢を放つという。

これもまた達人が、ゾーンに入った状態である。

こうしたある種の神がかったような技、身体と精神の状態が常人を超えたような状態というのは、スポーツや武道の世界では、頻繁にとは言わないまでも世界のトップレベルの選手や武術家が体現している。

このように人間が本来持っている能力を最大限に発揮できる「フロー状態」だが、それはアスリートや武術家のように身体能力が問われる世界でのみに見られるものではない。

よく人の潜在能力の例えで使われる家が火事のとき年老いたお婆さんが自分の体重よりも思いタンスを担いで、燃え盛る火事の場から外に出てきたという「火事場のクソ力」も、フロー状態の例といえる。

つまりは、フロー状態というのは、肉体的なものというよりも精神=意識の状態であると考えていい。

そして、だからこそ、フロー状態というのは、身体のサイズや筋力、性別、年齢に関係なく、私たちの誰もが活用できるものだということになる。

もしも、そのフロー状態を私たちが自分の意思で自在に作れるとしたら、私たちは今よりももっと大きなことを成し遂げることができる。それももっと短時間で、もっと効率的、そして効果的に。

ゾーン状態が、私たちにもたらしてくれる最大のものは「不可能を可能にする」ことだ。

あなたが「自分にはちょっと無理だろう」「それは特別に選ばれた人ができることであって、自分には縁のない世界だ」と諦めや夢物語であったことが、現実に差し迫ったあなたの手が届くものになるのだ。

さて、本レポートのテーマは「社員がフロー状態になるための考察」だ。

組織の最大にしてかけがえのない資産である「社員」がその持てる価値を最大限に発揮させるために、フロー状態とは何か?そして、いかにすれば社員をフロー状態にすることができるのか?ということにフォーカスして、考察を試みようとするのが本レポートの趣旨である。

そこでまず「フロー状態」について、考察してみよう。

「フロー状態」という言葉は、心理学者のチクセントミハイが名付け親である。

彼はフロー状態を「ある活動に熱中していて、他のことが重要だと思えない状態」と定義し、その特徴に「自我の消失」「時間の速度が速い」「行動の連続性と不可避性」そして「それに対する没頭」をあげている。

そして、身体、心理、知力、社会性、創造力、意思決定力のスキルが最高度の高まった状態になる、としている。

さらには、そのフロー状態にあるときの人は「人生の意味」「生まれてきた意味」を実感し、認識するのだそうだ。

チクセントミハイが、スポーツアスリートを対象にフロー状態を研究した成果として、フロー状態にあるには以下の10の要素があるとした。

1.明確で達成可能な目標

自分のスキルと能力と合致し、チャレンジとスキルの両方が高いこと。

2.完全なる集中

3.自己意識の消失

頭で思考したり、意識せずとも、意識がそのまま動作と合致している状態。

4.時間のゆがみ

時計の時間とは異なる、主観的な時間。行動するときは、時間は長くなり、多くのことをすることができるが、氣づくとあっとういう間に時間が過ぎている感覚。

5.直接的、即時的なフィードバック

自分の行動が即結果につながり、それを確認できる。

6. ポテンシャルを引き上げる能力とチャレンジのバランス

易し過ぎず、難しすぎない。

7. 状況のコントロール

自分が状況をコントロール(できる、やれる)している感覚。

8. 内発的な動機

外部からの報酬によるモチベーションではなく、内側から沸き起こる欲求(インスピレーション)。

9. 物質的、身体的な条件(ニーズ)の認識の欠如

成功するための学歴や社会的地位、知識、筋力、体力といった要件や条件の認識がない。

10. 中毒的とも言える没頭

それだけにのめり込むこと。

さて、このフロー状態を生み出す10の要素であるが、これまで発表してきたやる研レポートを読んだことがある人なら、それらが『バリュー・エンゲージメント』と共通している点に氣づくはずだ。

バリュー・エンゲージメントは、「価値観」を私たちの行動を促すドライビング・フォース(動機)であるとしてきた。

そして、その価値観を知る手がかりは、実際の人生に現れている状況をつぶさに観察すれば自ずとわかるとしている。

いかがだろう?

チクセントミハイの言う「フロー状態」の10要素とバリュー・エンゲージメントの「価値観」に共通するものが見えないだろうか?

次のレポートでは、フロー状態を生み出すための手法として、バリュー・エンゲージメントとの関係を考察してみよう

つづきのレポートはこちら


部下の本音を言葉ではなく、音で聴く

2016-02-09 [記事URL]

前回のレポートで、明らかにした価値観が本当に合っているのか検証するための方法として、人生のブルー・プリントとマッチングすることが有効であることを紹介した。

今回は、少しだけ上級者向けの方法になるが、もう1つ価値観を検証する手法を紹介しよう。

例えば、上司が部下に仕事の指図をするとき、ただ自分が指示したいことだけを部下に伝えても、部下はやる気をもってその指図された作業に取り組むとは限らない。

いや、むしろ大方の場合、仕事だから仕方なく指示に従うというのが実際だろう。

部下がやる気をもって仕事をするのは、その仕事の内容が自分の価値観に合致しているときのみである。

上司が部下に指図をする場合、その指図する業務内容は、上司がして欲しいこと、すなわち上司の価値観に合致しているものだ。

だから上司はこう考える。この業務は重要だ。だから部下がその業務をするのは当然だ。

しかしながら、部下はその業務が重要だとは受け取らないことがありうるのだ。部下にとっては、指図された業務よりももっと重要と考える業務が別にあるかもしれない。

無論、この場合の重要な業務というのは、自分の価値観に合致した業務となる。

だからこそ、上司の立場にある者は、なにか仕事を部下に依頼するとき、その指図する業務が部下の価値観に合致していることをわかるように伝えることができれば、部下はやりがいを感じ、やる気十分でその指図に従うであろう。

仕方なくやる業務と、やる気をもって取り組む業務とでは、その業務の質、迅速さに大きな差が生まれることは言うまでもない。

さて、そこで上司は、部下の価値観を知ることがとても重要になる。

部下の価値観を知るには、バリュー・ファクターにあるような13の質問を用いればよい。

日頃から部下の言動や行動、持ち物などをつぶさに観察し、部下の価値観が何なのかを把握することだ。

公式な形でバリュー・ファクターのフォームを使って、部下と一緒に部下の価値観の洗い出しをしてもよい。が、現実的にはそれは難しいであろう。

だからこそ、日頃の観察が大事になる。観察することは、それだけ部下に氣を向けることにつながる。それは部下を慮る行為ともいえる。

部下と積極的に会話をし、部下の話に耳をかたむける。部下の行動パターン、何が得意としているのか、どんなことに精通しているのか、趣味は、家族構成は、等々。

こうして部下の価値観の仮説を立ててみる。

さて、部下の価値観の仮説が立ったら、つぎはその想定した価値観が本当に部下の価値観であるか検証が必要だ。

あなたなら、どうやって自分が立てた部下の価値観の仮説を検証するだろうか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

価値観の仮説を立てたら、次のようにしてみるとよい。

その部下に何か依頼したい業務を明確にする。

そして、その業務が部下の価値観をどのように満たすか?その業務をすることが部下の価値観にどのようなメリットを与えるか、具体的に考える。

そして、実際に部下にそのメリットを指図の中に含めながら伝えてみることだ。

それによって、部下が「わかりました」と答えるだろう。

このとき、その「わかりました」の声の音質に注意して欲しい。

その音質(声音)から直感的に感じることだ。部下はその指図にやる気を見出しているかどうか?

言葉は、作ることができるけれど、声の音は、本音が出るものだ。

最初は、うまく声音から部下の真意をはかることは難しいかもしれない。

しかし、何度も繰り返していくうちに、直感は冴えてくるもの。ぜひ、このプロセスを繰り返し行ってみて欲しい。かなり高い確度で、部下の本音を知ることができるようになるはずだ。

他のパターンとしては、あなたが立てた部下の価値観。その価値観に関係する話題を部下にふってみることだ。

それが部下の価値観に合致していれば、部下はその話題について積極的に発言するだろう。また、その話題についていろいろな情報を持っていて詳しいことだろう。

この場合も、声音に注意を向けて欲しい。

価値観に合致していれば、部下の声はきっと張りがある声であることだろう。

企業研修や個人セッションで、クライアントにバリュー・ファクターを使って価値観を洗い出す場合、私は、洗い出した価値観について「これがあなたの最高価値だと思いますか?」と直接尋ねることもある。

そして、クライアントの返答をその内容ではなく、声のトーンや張りで聴く。私の場合、スカイプを使って音声でやりとりすることもあって、この声の張りに集中することができる。

声の張り・・・そこから直感的に、その言っている言葉がクライアントの真意(本音)であるかを聞き取るのだが、やってみると実はそんなに難しいものではないことがわかるはずだ。

声の張りを意識しながら、クライアントの言葉を聞き分けていくと、クライアントの声が、自分に向かっているか、多方面に散っているか感覚的にわかるようになる。さらにいえば、その声がこちらに届くかどうかもわかるようになる。

「声が届く」という表現だが、当然声は聞こえている。ただ、その声に張りがあるときは、聞いているこちらの胸のあたりに声を感じる。逆に、声は聞こえているけれど、スピーカーから鳴っているだけで、声の場所がスピーカー周辺にあるとき、それは声に張りがない。

少し聞きなれない表現であるので、困惑させてしまったかもしれない。

ただ、これは実際にやってみればわかるものだ。1度目ですぐにこの状態をつかめたとしたら、それはすごいことだが、大方の人はそれができるまで何度か繰り返し経験が必要だろう。

今回は、価値観を検証する方法として声音(声の張り)に注意することを紹介した。まだ他にも価値観を検証する方法はあるので、またおいおい本やる研レポートで紹介していく。

岩元貴久


人生のブルー・プリントを知ることで見えてくるもの

2016-02-02 [記事URL]

私たちは、それぞれが異なるユニークな価値観の優先体系を持っている。

私たちはその価値観に則って、物事を見て、判断し、行動する。

人間行動学と価値論の研究によって明らかになったこの原理に基づいて、私たちは『バリュー・エンゲージメント』(価値観への紐づけ)と呼ぶ、社員のやる気の向上と働きがい、スタッフ間の人間関係の改善を行っているわけだ。

さて、『バリュー・エンゲージメント』のコアとなる価値観の優先体系を知る手法として、私たちは世界的な人間行動学の第一人者であるドクター・ディマティーニが開発した『バリュー・ファクター』(以下、VF)を推奨している。

VFは、13個の質問項目に回答するだけで、その人特有の価値観の優先体系を明らかにできる画期的なツールであり、実際に私たちはVFを用いたクライアント企業へのマネージャー研修や経営幹部陣へのコーチングを行っている。

これまでに発表してきた『やる研レポート』を読んでいる方ならば、VFがどのようなメソッドであり、どういう効果があるか理解されていることと思う。

さて、VFを用いた企業研修を行っていると、受講生の中にはVFで明らかになった価値観に対して、100%の確信を持てないという方がいるものだ。

この場合、VFで明らかになった価値観の優先体系が確かに自身の価値観であるという確信を得るための検証をすることが重要だ。

その検証方法として、いくつかあるのだが、今回はその1つで私たちが『人生のブルー・プリント』と呼んでいるものを紹介しよう。

私たちは、人生に満足している分野と不満や不安を抱いている分野を持っているものだ。

例えば、仕事はとても充実している。だけど、家庭があまりうまくいっていない。と感じている方がいれば。

お金では、ギリギリの生活を送っているけれど、健康面や子供との関係は良好だ、という方もいるだろう。

このように良好な分野、上手くいっていない分野があるのは、それぞれの人が「人生はこうあるべき」とする基準を持っているからに他ならない。

具体的には、私たちの誰もが人生を8つの領域にわける(仕事、お金、家族、健康、人間関係、教育/学習、精神性、娯楽)とすると、それぞれの分野で「最低でもこういう状況でないと、こうあって然るべき、こうだと安心する」といった基準を持っている。

月の収入がこれだけ賄えるに十分な金額。家族構成は、子供が何人いて、これくらいの間取りの家に住んで、2ヶ月に1回は家族旅行をする。健康については、病気にかからず、体重がこれくらいで、脂肪率がXX%で、血圧はこれくらい等々。

こうした基準をクリアしている人生像がブルー・プリント(青写真)となる。注意して欲しいのは、ブルー・プリントは、理想像ではないという点だ。

理想像は、将来こうありたい、こうなりたいという夢であり目標のことで、一般に現状とは大きく異なる、すべてが最高といえる状態。

対して、ブルー・プリントは、より現実に即しており、その中でもそれが満たされていないと不満を感じるレベルの状態のことである。

ゆえに、私たちの現状が、ブルー・プリントを満たしていると、充実感を感じ「良好」と実感する。しかし、ブルー・プリントを下回るような状況だと不安や不満を感じる。

さて、この人生のブルー・プリントが、VFで明らかになる価値観の優先体系を検証するのにどう役立つか、というポイントだが。

クライアントに、人生の8つの分野それぞれについてブルー・プリントを描いてもらう。

それができたら、現状の人生について8つの分野を評価してもらうのだ。

その評価の方法として、充実度を1〜10の点数をつけてもらうのだ。

ここで、注意して欲しいのは、「充実度」の点数をつけるという点だ。「満足度」ではないことに注意して欲しい。

充実度と満足度の違いはおわかりになるだろうか?

具体的に例をあげて説明するならば、例えば、ある人の最上位の価値観が「人生の真理の探究」だとする。

その人は、真理に関連した本を何冊も購入し読んでいる。それに関連したセミナーにも何度も参加していて、かなりの知識量を持っているとする。

さて、この人は、教育/学習という分野は充実しているだろうか?

この人は、本を読むために多くの時間を費やし、書籍やセミナー受講のために相当額を費やしている。部屋には真理に関する本が書棚にたくさん並んでいる。付き合っている友人は、セミナーで知り合った人たちが多く、話題は人生の真理についてがほとんどだ。

明らかにこの人は、教育/学習という分野は充実していると言えるだろう。

さて、ではこの人は真理の探究に満足しているだろうか?

おそらく満足していないだろう。もっともっと知りたい、もっと真理に近づきたい、もっと深い洞察を得たいと、今以上に探究心に溢れているはずである。

結果、この人は、教育/学習の分野について充実度は高い(おそらく9-10点)、しかし、満足度は低い(5以下であると思われる)。

人生のブルー・プリントの評価は、満足度ではなく充実度を用いることで、価値観の検証として有効になる。

なぜなら価値観とは、人の行動を促すドライビング・フォースのことである。

ゆえにもしもVFの結果明らかになった価値観の優先体系の上位に「教育/学習」がくるなら、人生のブルー・プリントでの「教育/学習」の充実度は高くなっているはずである。

VFを使った企業研修、コーチングの中では、必ずこの人生のブルー・プリントとの検証を行うのだが、見事なくらいに一致をみる。

価値観の検証に人生のブルー・プリントが有効であることは確実である。

これ以外にも価値観の検証をする方法はいくつかある。それはまた別途、紹介することにする。

バリュー・ファクターをあなたの会社でいかに導入したらよいか、関心のある方はお問い合わせから連絡して欲しい。

岩元貴久


トイレ掃除の仕事を好きになれるか?

2015-08-18 [記事URL]

バリュー・ファクターを活用することで、自分のやりたい仕事、好きな仕事ができるようになる。

また、社員であれば、現在務めている仕事にやりがいを見出すことができる。

なぜ、バリュー・ファクターでそういうことが可能になるのか?

今回はそのことについて紹介しよう。

やりたいこと、好きなことを仕事にできるようになる秘訣は、以下の2つを満たすことである。

− 好きなことをする(Do what you love.)

− 今やっていることを好きになる(Love what you do.)

そして、バリュー・ファクターは、まさにこの上記2つを実現するための有効なメソッドなのだ。

自分らしく、やりたいことをする人生を送るには、好きなことをやるだけでは十分ではない。今やっていることを好きになるだけでも十分ではない。

好きなことをし、やっていることを好きになる、この2つを満たしてこそ、真に自分のやりたいことができる人生を歩むことができる

多くの人は、好きなことをすること、つまり”Do What I Love.”だけにフォーカスしているようだが、現実にはそれは難しい・・・このことは、読んでいるあなた自身がよく承知しているはずだ。

バリュー・ファクターの核となるメソッドは、いたってシンプルだが、非常にパワフルだ。

1.好きなこと、つまり、自分の価値観(人生でもっとも重要、大切にしていること)を明らかにする。

2.そして、価値観に合致したことを仕事に選ぶ、または今取り組んでいる仕事が、自分の価値観にどれだけ貢献しているかを認識する。

この2つの作業を、論理的、科学的に実行し、認識できるのがバリュー・ファクターの特徴だ。

さて、ある企業幹部の方に次のように話をしたときのことだ。

私が「どんな仕事であっても、今やっている仕事が天職なのです。それに氣づくことができたら、仕事の生産性はかなり向上します。

そして、そのためのメソッドがバリュー・ファクターであり、今の仕事が自分の価値観に貢献していることを認識することで、それが可能になるのです。」と、バリュー・ファクターのメソッドを説明しながら話をしたところ。

その企業幹部の方が以下のような疑問を呈してきた。

「仰っていることはよくわかります。しかし、実際に今、こうして大企業の幹部として働いている私が、もしも明日から便所掃除をしろと命じられ、便所掃除が私の仕事になったとしたら、私はきっと絶望することだろう。どう考えても、便所掃除がやりたいことになるとは思えないのだが。それはどうなのか?」

私はこう答えた。

「なるほど。便所掃除は、あなたの価値観からすると、好ましい理想の仕事といえないでしょう。

しかし、もしこういうことがあったらどうでしょうか?

もしもあなたが便所掃除を命じられたのが、会社のボードメンバーが、あなたを社長に抜擢するかどうか判断するためのテストだったとしたら。どんな仕事でも率先して前向きに働く人材に社長になってもらおうということで、ボードメンバーが今回のことを画策したのだとしたら?

そして、そのことをあなたが懇意にしているボードメンバーの一人がリークしてくれ、事前にそのことを耳にしていたらどうでしょう?

あなたは、すぐにでも便所掃除に全力を尽くすようになるのではないですか?」

この質問に、その幹部の方は少し躊躇しながらも、「そんなこと現実にはないと思うが、でも、確かにもしそういう状況であったなら、私は便所掃除を一生懸命するだろうね。

う〜む、なるほど。あなたが言っているポイントがよくわかったよ。確かに、今の話で私の中で便所掃除の意味が大きく変わってしまった。

便所掃除は、私の念願である会社の社長になるために貢献している。そのことに気づくと、確かに便所掃除にやりがいを感じる。

そういうことだね?」

「はい、重要なのは「便所掃除」そのものではないのです。便所掃除の持つ意味なのです。とるに足らない、くだらない無価値のものと思われた便所掃除が、あなたの(社長になるという)最高価値とリンクされたとき、便所掃除はあなたの最高価値を満たすために必要なものであり、手段であり、大事な仕事に変わるのです。

すべての業務が、私たちにとって天職であると先ほど申し上げたのは、人生には決して無駄なことはない。すべてが、自分の天命を全うするために必要なものとして存在しているということ。そして、天命の遂行は、私たちにとって究極の目標であり目的です。まさに最高価値です。

バリュー・ファクターでやっていることは、そのことを価値観と実際の業務をリンクさせるワークを通して明確に認識するプロセスなんです。」と、私は答えた。

いかがだろうか?

価値観が、私たちの人生の解釈に大きく影響していること、おわかりになっただろうか?

そして、人生の事象、出来事が、自分の価値観に貢献している点を認識すればするほど、私たちは人生に感謝し、充実感を大いに感じることができる。

これを幸せな生き方の知恵と呼ぶのである。

バリュー・ファクターをあなたの会社でいかに導入したらよいか、関心のある方はお問い合わせから連絡して欲しい。

岩元貴久


人事は能力を基準にしてよいのか?

2015-07-17 [記事URL]

今回は、趣向を変えたアプローチをとってみたい。

まずは、この質問に答えてみて欲しい。

あなたが、会社で人事を担当しているとしよう。そして、社員の所属部署および担当職務を決めることになったとする。

さて、あなたは何を基準にそれぞれの社員の配属先と職務を決めるだろうか?

少しの間、考えてみて欲しい。

どうぞ。

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さて、あなたは社員の配属先を何を基準に考えただろうか?

一般的には、次の2つを基準に決められることが多い。

1.適性

2.本人の希望

まず伝統的にとられるのが1の適性だ。

そのために社員の適性を判断するシートのようなものを研修コンサルタント会社がこぞって開発している。

あなたも過去にそうした適性テストのようなものを受けたことがあるのでは?

他にも適性テストとは別に、既に数年働いている社員に対しては、その適性を能力を基準に判断している。

この場合、その社員がどんなことに詳しいか、過去にどんな業務を経験しているかをみて、その社員が得意としていることを推察する。そしてそれを能力判断の基準としている。

次に、2つめの本人の希望だが。

面接などをして、社員に希望の職種を尋ねるという方法ととっている企業が多い。

これは社員が何をしたいのか?人生の目標を持っていることを前提としているのだが、実際にはそうした将来の目標を明確に持っている社員は稀だ。

何をしたいとか、目標を明確に持っていないと、社員は自分の経験と実績を基に判断して回答することになる。

そして実は、会社もそのことをわかっているのだ。

だから社員に希望の職種を聞くのは、あくまで会社として社員の意思を尊重しているというポーズでしかない。

このことからつぎのことがわかるだろう。

1の適性、2の本人の希望は、いずれも社員の経験と実績に基づいた能力による判断となっているわけだ。

さて、人事を社員の能力に応じて決めることは、適切なのか?今回はそのことについて論じてみたい。

社員の配属先、職務を選定するのに能力という視点で判断するのは、当然あってしかるべきだろう。

しかしながら、一方でそれだけでは不完全であるということを申し上げたい。

なぜならその証拠に、能力をもって人事を決めている多くの企業、おそらくあなたの会社には、やる氣のない社員が数多くいるのではないだろうか?

率先して働かない、常に受け身で言われたことだけを淡々とこなしている社員が周りに結構いるのではなかろうか?

会社の仕事に満足せず、不平を言いながら嫌々ながら働いている社員がいるのでは?

こういう現実を直視すれば、能力による人事は必ずしも功を奏さないのは明らかである。

それは、なぜなのか?

能力とは「できる/できない」を図る物差しだ。

そして、これがもっとも重要なのだが、「できる」は必ずしも人に行動を起こさせるパワー(動機)にはならない。

一般に、人は得意なこと、本人が一番できることをしたいのだと思われがちだが、実際はそうではないのだ。

もう一度言うが、私たちは、できるからといって、必ずしもそのための行動をとるわけではない。

言い換えると、それをできる能力があっても、行動しないことがある。いや、例えできたとしても行動しないことの方が多いといった方がよい。

極端な例になるが、本質を理解してもらうために次のような例をみてほしい。

ある日、道を歩いていたら、目の前に100万円の札束が落ちていたとする。

周りには誰もいない。ゆえに誰からも咎められることはないし、後であなたが盗んだと警察に通報されて罰を受けることもない状況だとする。

容易に、安全に、そして確実に百万円を拾って自分のものにできる状況というわけだ。

さて、そういう状況の中で、あなたはその百万円を拾って自分のものにするだろうか?

能力としては、あなたはそれができる十分な能力(ただ、拾うだけですから)と環境が整っている。障害となることは何一つない。

さて、どうだろう?あなたは、その百万円を自分のものにするだろうか?

もし、あなたが百万円を拾わないと決めたのであれば、それはなぜ?

あなたには、それをする能力が十分にあるにもかかわらず、百万円をネコババ(この表現がよいかは別として)しないことに決めたわけだが、それはなぜ?

合理的な理由は、そこにあるのか?

実はこの答えこそが、私たちの行動の原理であり、人事で社員の配属先を決めるにあたって重要なポイントになる。

なぜ、誰も見ていないところで容易に手にすることができる百万円を自分のものにしないという判断を下したのか?

それは、百万円をネコババすることが、あなたのアイデンティティーの崩壊を意味するからである。

ネコババしたその瞬間からあなたは、盗人というアイデンティティを持つことになる。それは、あなたにとって到底受け入れられないことなのだ。

誰もが意識しようがしまいが、自分のアイデンティティーを持っている。

アイデンティティーとは、自分が何者であるという自覚である。自分の正体であり、生まれてきた自分のこの世界での役割である。

普段何もない状態だと、私たちの多くは自分のアイデンティティーを自覚していない。そして認識もできない。

その証拠に、あなたは何者ですか?と問われて、答えることができる人はほとんどいない。

先ほどの例のように、何かを選択する状況に置かれた時に、自分のアイデンティティーに反する行為が何であるかを認識することくらいだ。

しかし、アイデンティティーでないものをいくら数多くあげても、それは自分の正体=何者であるかを知ることにはならない。

アイデンティティーは、

「自分は一体何者だろう?」

「何をするために生まれてきたのだろう?」

といった多くの人にとって答えを見つけられずに困っている難題となっている。

この自分の存在意義を問う質問の答えは、精神的スピリチュアル的な課題であり、日常生活には何ら影響しないと思うかもしれないが、それは誤った認識である。

なぜなら、アイデンティティーは、私たちの人生の充実感と密接に関係しているからだ。

自分のアイデンティティーを満たしたとき、私たちは真の充実感を感じるのだが、
そのためにはそもそも自分のアイデンティティーは何かを明確に知らないことには、何をどうすればよいのかわからない。

そのため、どんな職業につくか、今やっている仕事の意義といったものがわからず、賢明な職業選択の判断ができない。

そんな状態で、どうして仕事で充実を得られるだろう?

現代では、多くの人にとって人生でもっとも時間を費やす場は、職場であり仕事だ。

本当に自分が充実感を得られる仕事がわからないまま、どうして人生を充実したものにできるだろう?

自分のアイデンティティーを知ることは仕事で充実感を得るだけでなく、幸せな人生を送る鍵となるのだ。

だからこそ、ぜひ自分のアイデンティティーを見つけて欲しい、知って欲しい。

アイデンティティーを知るヒントは、先ほどの例でいえば、百万円をネコババすることは自分のアイデンティティーの崩壊を意味すると言った。

自分は盗人などではないのだと。

この許せないの意味を正しく理解することだ。

許せないとは、それが自分の「価値観に反する」と言い換えることができる。

ここまでくれば、勘の働く方ならもうおわかりだろう。

アイデンティティーは、あなたの価値観に他ならないのだ。

「できる/できない」の能力で、必ずしも私たちは行動するわけではない。

しかし、価値観(アイデンティティー)に従って、私たちは行動する。

価値観に基づいて「する/しない」が決まる。

つまり、「できる/できない」は、行動に移すまでに1つないしは複数のステップを踏む必要があるが、「する/しない」はそのまま行動に直結する。

さて、人事の話に戻ろう。

社員を能力を考慮した上で、それ以上に社員の価値観(アイデンティティー)に基づいて、配属先を決めることだ。

世間ではブラック企業とレッテルを貼られている会社がある。

ブラック企業の経営トップは、ものすごくハードに働く人がほとんどだ。そして、仕事が彼らの最高価値にあるのは明らかだ。

そうした経営トップにとっては、全力で24時間働くことは苦にならないし、それが楽しいし、それが人生で充実を感じる最高の場となっている。

そして、彼らは自分の価値観を社員全員に投影してしまっている。自分と同じような考えで仕事に励むことを期待する。

しかし、この経営トップは、社員が自分と同じ価値観を持っているとは限らないということを知らない、氣づいていない。

そのため、世間から多くの反発を受けることになってしまった。

それがここ数年、日本で問題になっているブラック企業の本質である。

これだけ多様な価値観を持つ現代の人たち、そしてその多様化した価値観を受け入れることをよしとする風潮になった現代社会において、ブラック企業のレッテルを貼られた会社を含め、すべての企業が、それぞれの社員はそれぞれユニークな価値観を持っていることを認識し、それが何なのかを把握することがもとめられている時代なのである。

だからこそ、価値観が企業組織のそして社会で重要な鍵となっている現在、『バリュー・ファクター』の果たす役割は大きい。

バリュー・ファクターをあなたの会社でいかに導入したらよいか、関心のある方はお問い合わせから連絡して欲しい。

岩元貴久


奇跡の経営の実践法(2)

2015-06-26 [記事URL]

さて、前回に引き続き「奇跡の経営の実践法」の2回目。

今回は、「社員は大人である。だから監督/管理は不要」について紹介しよう。

会社で働いている社員は、言うまでもなく20歳を過ぎた成人であり大人である。

法に触れることをすれば、分別のつく大人として罰せられる。社会生活を営む上で、お金を払う場合は大人料金を払うことになる。

家庭に戻れば、何を買い、何を食べ、どこへ出かけるか、ほぼすべてのことについて意思決定者であるか、または意思決定に強い影響力を及ぼすリーダーだ。

そう、あなたの会社で働いている社員はほぼ全員が立派な大人であり、リーダーなのだ。

しかし、会社ではどうだろう?

それらの社員は、仕事の上で経費を使ったり、資料の作成、報告書の完成において最終決定できる権限を持っているだろうか?

何をするにもすべて上長の承認や決済を伺うよう強いられてはいないだろうか?

今日1日、どこで何をしたのか、その報告をするようもとめられていないだろうか?

それはまるで、親が子供がいちいちやることに許可を与えたり、問いただしたり、子供のなすことに介入することに似てはいないだろうか?

そう社会では一人前の大人である社員は、会社組織の中では一人では何もできない(と見なされた)子供同様の扱いをしているわけだ。

奇跡の経営では、そこに「なぜ、子供扱いをするのか?」という疑問を抱くことから始まる。

親と子供、大人と子供の関係は、リーダーとフォロワーの関係と言い換えることができる。

ここでいうリーダーとは、次の特性を持つ。

− 責任感がある

− 明確な目的/目標を持っている

− 実行力がある

− 率先して全力で行動する

− 誠実にやり遂げる

− 正直である

− 公平/公正である

− etc.

一方でフォロワーは以下の特性を持つ

− 責任をとらない

− 他人の指図/指示待ち

− 言われないと動かない

− できるだけ楽をしようとする

− 先延ばししようとする

− 言い訳をしたり、ごまかす

− 自分の利を要求する

− etc.

もし、会社組織の中で社員を監督/管理する必要性を声高に主張する人がいるとするなら、その人は社員が上にあげたフォロワーのような存在であると見ているからに相違ない。

そして、上長だけがリーダーのような特性を持ち合わせていると主張しているわけだ。

しかし、はたしてそれは真実なのだろうか?

職責が管理職で、リーダーの立場にある人が、必ずしも先に述べたリーダーの特性を常に示しているわけではないはずだ。フォロワーの特性もちょくちょく表していることだろう。

これはだからといってそれが間違っているとか悪いと言うわけではない。むしろ、それこそが人間の行動メカニズムに則っていることの証なのである。

つまり、誰もがリーダーとフォロワーの特性を示す存在であるということなのだ。

そして、リーダーの特性とフォロワーの特性は、その人が生まれついてのリーダーだからとかフォロワーだから、そういう特性を示すということではない!

人間の行動メカニズムは、価値観に合致していることについてリーダーの特性を示し、価値観に反していることについてフォロワーの特性を示すというものである。

上の図でいえば、価値観に合致していることは右側の信頼、時間厳守、責任感といったポジティブな特性、価値観に反していれば左側の怠惰、言い訳、無責任といったネガティブな特性を示すのだ。

私たちは誰もが、このメカニズムに則っている、ただそれだけのことなのだ。

そこでぜひとも認識して欲しいことは、もし社員が自身の業務が彼らの価値観と合致していると認識したら、社員がどういう行動をとるか、ということである。

社員が自分の業務のすべてのタスクについて、それらが自身の価値観を満たすものであると認識すれば、右側にあるポジティブな特性を示しながら働くことになる。

そんなリーダーの特性を示しながら働く社員を監督/管理する必要性がどれだけあるだろう?

少なくとも、現在、あなたの会社が行っている社員への監督/管理は、その大半が不要なこととして管理業務を削除できることだろう。

それは会社にとって大きなコスト削減につながるのではないか?

もっと重要なのは、それ以上に社員が率先してリーダーシップを発揮しながら働くことによる会社の発展への貢献だ。

それを考えると、ワクワクしてくるのではないだろうか。

さて、では社員が自身の業務が彼らの価値観に合致していることを認識させるにはどうすればよいか?

その方法については、既に前回のレポートで述べたとおり、業務と価値観をリンクするワークをすることだ。

お問い合わせ」から連絡して欲しい。

また、メソッドそのものについて学びたい、そのメソッドが自身でできるようになりたい、というのであれば、メソッドの開発者であるドクター・ディマティーニが直接指導する『バリュー・ファクター・トレーニング・プログラム』があるので、そちらを受講されることをお勧めする。

岩元貴久


奇跡の経営の実践法(1)

2015-05-10 [記事URL]

それでは、これからいよいよ奇跡の経営を実践する方法について説明しよう。



まずは「一週間毎日が週末発想」について、どうすれば会社で働くことが、まるで休暇のように心がワクワクするような楽しいものになるのだろう。



前回のレポートでは、「働く人の最高価値観と仕事がリンクしている」ことだと申し上げた。  

は、誰しも価値観を持っている。ただし、ここで言うところの価値観とは、宗教や道徳が教えている正しい生き方を諭した概念のことではない。



そうした正しい生き方の概念とは、例えば、愛しなさいとか正直、誠実、親切、公正、寛容、真面目でいる、といったものである。  

教育や社会のさまざまなところで、こうしたことが正しい価値観であるかのように教えられて私たちは育つ。

しかし、考えてみて欲しい。正直でいることをしようとして、あなたは心がワクワクするだろうか?それをして楽しいだろうか?正直なことをするのを待ち遠しく思うだろうか?   答えは否である。  

こうした正しい生き方を説いた概念は、私たちの内にある思いを解放してのびのびとさせてはくれない。むしろ、抑圧する働きを持つ。しかも、正直でいようとしても、人は常に正直でいることはできない。

常に誰もを、愛することはできない。

常にどんなことについても寛容に受け容れることはできない。

常に正直でいられるわけではない。

常に誠実に全力で対応できるものでもない。

そうしたことを完璧にできるのは聖人ぐらいのものだろう。 言い換えるならば、 道徳や宗教は、聖人になることを教えていると言ってもよい。

ただし、だからといって道徳や宗教が間違っているとは言わない。

でも、このことだけは認識して欲しい。道徳で教えている価値観に従おうとするとき、それを完璧にできない私たちは、それが故に自分のことを、恥ずかしく思ったり、懺悔したり、ときには怒りを覚えてしまうということを。

 つまり、正しいとされる価値観に沿って生きようとすると、多くの場合、私たちはそれができない自分を認識する。だから途中で挫折し、自分を懺悔し、過小評価することになる。  

また、こうも言える。そうした正しいとされる、決まった定型の価値観を目指すのは、まるで誰もが同じ人になることを教えていることにならないだろうか?

私たちは、本来誰もがユニークな存在であり、ユニークだからこそ、この世に存在する価値があるのだ。同じ定型の人格の人になるのは、私たちがユニークであり、自分らしく生きることに矛盾する。

さて、では私たちが奇跡の経営の実現のための鍵としている「価値観」とは何か?

道徳的、宗教的な正しい生き方の概念とはどう異なるのか?  

奇跡の経営を実現するための鍵としている「価値観」の定義は、それが私たちの行動を促すドライビング・フォース(動機)となるもののことだ。

その価値観に生きることに、心からワクワクを感じる。

その価値観に沿ったことをすることが待ち遠しく、それをすることが楽しい、時間を忘れて取り組んでしまうし、それをしていると疲れない。

いや、むしろ取り組む前と後とでは、後の方が元氣になっているほどのものだ。

それから価値観は、私たちの認識、判断(意思決定)、行動の基準となるものだ。

実は、既に私たちは、そうした自分の価値観にしたがって生きているのである。

自分の人生において、自分が確認できている選択肢のオプションの中から、もっとも自分の最高価値を満たすものを選んで行動しているのだ。

今のあなたの人生は、そうしてあなたが自身の価値観により合致したものを選択した結果なのである。

ということは、自分の価値観を知る手がかりは、現在の自分の人生に現れている状況をつぶさに観察すれば自ずとわかるということでもある。

 

上図には、私たちの人生でとっている13の行動が、自分の価値観に基づいていることを示してある。

この13の視点から、価値観を見つけていく手法を「バリュー・ディターミネーション」と呼ぶ。このバリュー・ディターミネーションの具体的な取り組み方については、下のレポートに詳しいので、まだレポートを読んでいない方は、下のフォームからダウンロード(無料)するといいだろう。

メルアド

さて、こうして実際に私たちがとっている13の行動から自分の価値観を明らかにしたら、つぎはいよいよ「一週間毎日が週末」の状態にするための「自分の価値観と仕事をリンクする」プロセスだ。

そこで準備することは、あなたにとって「会社の仕事」が意味すること、具体的には、あなたが会社で働くことに影響している要因について、それを具体的にリストアップする。

例に挙げると:

– 会社の企業理念
– 現経営者の長期目標
– 現経営者の価値観
– 所属する部/課の年次目標
– 所属する部/課長の仕事に対する価値観
– 所属する部/課長の自分に対する期待
– 自分の担当業務における責務
– 自分の担当業務におけるタスク
– 自分が関係する部署の目的/目標
– 自分がサービスを提供する相手(顧客)の価値観
– 自分が関係する人達とその価値観

目標や理念など公に明示されているものは、容易にリストアップできるが、実際に相手に尋ねないとわからないものもある。それらは、できるだけ会って情報収集することが望ましい。それができない場合は、その相手とのこれまでの関係やコミュニケーションを観察することによって、明らかにすることだ。
また人物の価値観については、自分の価値観を明らかにしたようにレポートにあるバリュー・ディターミネーションの13の質問を使って、相手を価値観を明らかにする。

こうして明らかになった企業理念や事業部の目標、それから社員が担当する業務と社員の価値観を結びつけるのだ。

それはつまり、社員からすれば自分の担当業務が実は自分が本当に望んでいること(価値観の実現)に役立っていることを認識することを意味する。これができれば、自分の今の仕事が天職であるという認識に変わることができるのだ。

それは企業理念と自分の最高価値をリンクする、自分の業務と最高価値をリンクするというワークになる。

例えば、こんな感じだ。

要するに、社員にとって会社を意味するモノが、どれだけ自分の最高価値を実現することに役立っているかを認識することができれば、社員にとって会社の仕事の意味が大きく変わるのだ。

会社の理念や経営者の価値観、業務が、自分の最高価値と結びつけばつくほど、社員にとって会社の仕事は、やりがいのあるものになる。
そして、やりがいを感じることができるとやる気が向上する。

そして、仕事が自分の最高価値と最高度に結びつくと、仕事はもはや自分とは切り離せない生きがいとなる。

このとき、職場は社員にとって、もっとも自分らしくいられ、リラックスでき、楽しく、活力が溢れ出てくる場となるのだ。

このように「一週間毎日が週末」は、仕事と社員の最高価値が結びつくことで実現できるのである。

さて、つぎは「社員は大人である。だから監督/管理は不要」についてだが、これは、次のレポートをご覧頂きたい。

岩元貴久


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